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メルセデスAMG、V8エンジン復帰ならF1撤退

2014年11月11日(火)11:48 am

メルセデスAMGが、もしF1がまたルールを変更し、かつての自然吸気エンジンに戻すようなことがあれば自分たちはF1から身を引くことになると警鐘を鳴らした。

小規模F1チームたちを崩壊へと導きつつある現在のコストに関する議論が活発化しているが、これと同時に現在ルール化されているエンジン開発の凍結に関し、これを“自由化”しようという動きもある。

F1が今季から導入したV6ターボエンジンによるハイブリッドシステムに対し、これまでに何度も反対の意向を示してきたF1最高責任者バーニー・エクレストンは1週間前に『Sky(スカイ)』に次のように語っていた。

■エンジンレギュレーションそのものを見直そうとF1ボス

「レギュレーションを変える必要がある。我々は今季の(V6)エンジンとは手を切るつもりだ」

「あれは何の役にも立っていない。あれはF1のエンジンではないよ」

84歳となるエクレストンのこうした考えに賛同する者も少なくない。昨年までの自然吸気V8エンジンの耳をつんざくような音を懐かしむファンにもそうした意見は多い。

さらに、エクレストンは多くのレース主催者たちも自分の味方につけているようだ。

「F1カーの数が問題になることはないと思っている」

18台のエントリーしかない状態でアメリカGPを開催したオースティンのレース主催者であるボビー・エプスタインはそう語ると、次のように続けた。

「上位勢の戦いさえ素晴らしければ、全体の数は問題ではないよ」

「だが、もっと大きな音が聞ければさらにいいだろうがね」

■進展が見られないエンジン開発凍結緩和協議

そして、現時点では、エンジンの開発凍結緩和に関する議論も堂々巡りの状態に陥っている。

ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグによるホイール・トゥ・ホイールの戦いが楽しめているとはいえ、その2人を擁するメルセデスAMGだけが圧倒的な強さで今季のF1を支配しているのは間違いない。そして、ライバルエンジンメーカーであるルノーやフェラーリは、メルセデスAMGに追いつくことができるようエンジン開発凍結ルールの緩和を強く求めている。

メルセデスAMG最大のライバルチームであるレッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)はドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』次のように語った。

「我々だって5年にわたって、空力の制限を受けながらペースを落とされ続けていた」

「我々全員がメルセデスAMGに求めているのは、もっと接戦となるようにするためのチャンスを与えて欲しいということだ」

当然のことながら、今季から導入された新V6ターボエンジン開発に成功したメルセデスAMGはこうした動きを歓迎するはずはない。メルセデスAMG側もわずかな妥協案を示してはいるものの、ルノーやフェラーリの要求をすべて受け入れるつもりはなさそうだ。

そうした状況を受け、フェラーリとルノー、そして場合によっては来季から参入するホンダも含めたほかのエンジンメーカーは、2016年シーズンに向けて団結し、多数決をもってエンジン開発凍結の撤廃を推し進めようとする気配も見えてきている。もしそうなれば、コストも天井知らずの状態となり、さらに多くのF1チームの存続が危ぶまれる状況を迎えることは必至だ。

■V8エンジンへの復帰案も現実味?

こうした状況のもと、最善の妥協策は、エクレストンが主張するように、安価で、かつファンをよろこばせることもできるかつてのV8エンジンを再び登場させることかもしれない。

レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、これに関して次のように述べた。

「後退することを好む者など誰もいないよ。だが、何かがうまくいっていないときには、そうしたことに対する理解も必要だ」

事実、財政的に苦しめられているロータスやザウバー、そしてフォース・インディアといった小規模プライベートチームたちにとっては、かつてのV8エンジン時代のコストのほうが好ましいのは間違いない。

「我々の中に新しいエンジンを望んでいた者などいない」とロータスのチームオーナーであるジェラルド・ロペス。「それは強制的に導入されてしまったんだ」

ロペスは、もしコスト的に低いものであれば、ほかのタイプのエンジンが導入されることに反対するつもりはないと次のように続けた。

「もし私がパストール(マルドナード)とロマン(グロージャン)に、来年のクルマは足でペダルをこぐようなものになるぞと言えば、彼らがよろこぶわけはないだろう。だが、そうすれば我々のコストは下がるし、私には金も転がり込んでくることになるだろうね」とロペスはほほ笑んだ。

■V8エンジンへの逆戻りは新たな混迷の火種に?

だが、ホンダがエンジンメーカーとしてF1への復帰を決めたのは、F1が現代的かつ、市販車への適用度も高いF1エンジンルールを採用したことがその理由だったとされている。

さらに、メルセデスAMGの会長職にあるニキ・ラウダは、またF1がV8エンジンに戻るようなことがあれば、F1はさらに劇的な展開を迎えることになるだろうと警告し、次のように語った。

「もしまたV8に戻すようなら、メルセデスAMGは去ってしまうだろう」

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