ケータハムとマルシャの戦線離脱に続き、レースのボイコットをいい出すチームまで現れるなど、F1第17戦アメリカGPのパドックには危機の匂いがぷんぷんと漂っている。F1を取り仕切るバーニー・エクレストンも、崩壊を食い止めるのに必死だ。
上記ニチームが抜けて、次に危ないのはプライベート系のロータス、フォース・インディア、ザウバーだ。年間賞金の配分方法に不満の彼らは、今日の決勝を欠場する動きさえ見せているという。
「レースには出ると思う」と1日(土)に話したのは、ロータスのフランス人ドライバー、ロマン・グロージャンだ。「きっと走るよ。間違いない」
だが、怒りの度合いによって人の反応は違うものだ。フォース・インディア副代表ボブ・ファーンリーはいう。「現時点で、ほこを収めるわけにはいかない」
「いかなる事態も起こり得る」
多くのF1関係者は、ボイコットなど何の脅しにもならないとの意見だ。エクレストンなど、報道陣に向かって「クズ」呼ばわりする始末である。
「私が約束しよう。みんなレースをする。保証書を発行したっていい」と、エクレストン。「むしろ私が心配なのは、彼らが来年走るかどうかだ」
普段めったに過ちを認めないエクレストンも、年間賞金の配分システムが、今のF1を取り巻く問題の原因かもしれないと白状する。たしかに現行のシステムでは、豊かなチームには気前よく、貧しいチームにはわずかな分け前しか配られない。
「問題は、あまりに多額の金が誤って分配されていることだ。おそらく私のミスだな。だが、世間で取り交わされる数多くの合意と同様、当時はいい考えに思えたのだ」
現状打開は決してたやすくないと、エクレストンはいう。
「あるチームが1万(の金)を受け取るなら、みんなが1万をもらうべきだ」
エクレストンによると、大チームに与えているボーナスの一部を、彼ら同意のもと「経済的に困窮していると思われる三、四チーム」に配るのが彼にとって理想的なシナリオだ。
「そして、私も同じ額を困っているチームに払うことにする」と、エクレストン。いわば、三方一両損の考え方だ。「だが問題は、このアイデアを必ずしも快く思わない(主要)チームがひとつ、現れそうなのだ」
そこでエクレストンは、大チームの首脳、たとえばフェラーリのマルコ・マティアッチやメルセデスAMGのニキ・ラウダらを説得して回り、果ては親会社の自動車メーカーに直接、働きかけるという。
「おそらく他に方法はない」と話すエクレストンだが、ここでいきなり、一チーム三台体制は決していい考えではないと方向転換をしてみせた。
「あれはまずい」と話すエクレストン。「(一チーム三台体制の実現阻止に向けて)何とかしなくては」