いったいフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は何を考えているのか?パドックにいるF1関係者は、彼の将来について一様に首をかしげている。彼の動きによって何人ものドライバーが来季に影響を受けるとあって、なおさら、ことは重大だ。
現在のドライバー市場でアロンソがいちばんの大物なのは、疑いようがない。間違いなくフェラーリとは縁が切れたといわれるが、さまざまな報道によると、両者は契約に縛られて動きがとれない状況だという。
それさえ解決すれば、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)はめでたく正式にフェラーリの一員として紹介される。ところが今は、フェラーリと来季の契約を結んでいるキミ・ライコネンでさえ宙ぶらりんの状態だ。
こんなときの彼は、決まって無関心を装う。「ことの次第を見守ろうじゃないか」と、オースティンで母国フィンランドの報道陣に語ったライコネン。「今は、あれこれ憶測しても仕方ない」
フェラーリとこう着状態のアロンソは、マクラーレンの将来にも大きな影を落とす。来季、アロンソを迎え入れるのは恐らく、ホンダワークスとして大きく注目される彼らだ。
アロンソが加入したら、現ドライバーのうち必ず一人はシートを明け渡さなければならない。それは、2009年F1世界チャンピオンで現役最年長のジェンソン・バトンか、はたまたデンマークの新人ケビン・マグヌッセンか。
F1第17戦アメリカGPに先がけて、バトンのマネージャー、リチャード・ゴダードは次のように語った。「(マクラーレンは)、自分たちも分からないというばかりで、何も教えてはくれない」
「こんなことをいうのも何だが、左右に分かれた道を目の前にして、彼ら自身、どちらに行こうか決めかねているんじゃないだろうか」
「彼(ロン・デニス)は、”ほんとうに申し訳ないが、まだ待機の状態だ。あってはならないことだが、それが現実だ”と、私にいうんだ」
アロンソは間違いなくマクラーレンに行くと断言するのは、スペインの日刊紙『Marca(マルカ)』。すべての条件で合意に達し、あとはアロンソの署名を待つだけだという。
ところが、アロンソからは何の音さたもない。そのあいだにも憶測は広がるばかりだ。2016年のアウディF1進出で先頭に立つとか、一年F1を休んでルマンに挑戦するとか、ゆくゆくはメルセデスAMGに入るとして、まずはウィリアムズかロータスに移るとか。
「僕の頭の中には、とても野心的な計画がある」と、オースティンで報道陣に語ったアロンソ。
「それが実現すれば、みんなすごくワクワクするだろう。今の僕のようにね」
イタリア『Autosprint(オートスプリント)』誌は、こんなアロンソのコメントを拾った。「不慮の出来ごとで、僕の決定プロセスに遅れが生じている。鈴鹿(第15戦日本GP)で起きたジュール・ビアンキ(マルシャ)の事故も、そのひとつだ」
「でも、そうした問題とみんながいっていることに関連はない。決めるのは、あくまでこの僕だ」
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