いまF1で最大の謎、それはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の次なる行動だ。
同じスペインの後輩、カルロス・サインツJr.は29日(水)、いみじくも『AS』紙に語った。「僕には、さっぱり分からない」。F1パドック全体のムードを象徴するかのようなコメントだ。
ほんとうに誰もアロンソの今後を知る者はいないのだろうか。
イタリア『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』紙は同じ29日、フェラーリの新社長セルジオ・マルキオンネが今週末、ふたつの発表を行うためにF1第17戦アメリカGPの舞台オースティンを訪れると報じた。ひとつはアロンソの脱退、もうひとつはセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の跳ね馬加入だ。
情報は正しいかもしれないし、もはやアロンソとマラネロの別離は避けられないようにみえる。しかし、いろいろなしがらみが物ごとを複雑にしているのも事実だ。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者は、最近も記事を二本、書いているだけあって、フェラーリの事情に詳しそうだ。
要するに、ベッテルがフェラーリと2015年の契約を既に交わしたとしても、キミ・ライコネンとアロンソの来季契約だって有効なのだ。
だったらアロンソの契約を早期終了させればよいが、そこに謎の遅れが生じている。
もしアロンソから身を引くのであれば、彼には三つの選択肢がある。マクラーレン・ホンダ移籍、別のチームとの契約、あるいはF1活動中断だ。
逆に、フェラーリ側がアロンソの契約終了に踏み切ったのなら、ユーロにして八桁クラスの違約金をアロンソに支払う義務が発生する。五年前の2009年、アロンソと契約するために当時のライコネンを辞めさせたのとまったく一緒だ。
「うわさによれば、アロンソはフェラーリについてふたつの選択肢を握っている。(2015年も)赤いマシンのステアリングを握るか、手切れ金をもらうかだ」と、シュミット記者。
「だが、フェラーリはビタ一文も出したくない。チームを離れたがっている者に、わざわざ金を払う意味がどこにある?彼(アロンソ)は、フェラーリに乗る気などない。ベッテルもライコネンもいるのだから」
「ここまで仲裁の話し合いは、何の進展もない。両者とも裁判に持ち込むのは避けたがっている。無難な着地点を探っているのだ」