F1関係者の間では、フェルナンド・アロンソがフェラーリを離脱することは公然の秘密として受け止められている。そして、アロンソの移籍先として最も可能性が高いのがマクラーレン・ホンダであると考えられている。
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』は、アロンソとマクラーレン、そして来季からマクラーレンにワークスエンジンを供給するホンダとの交渉は基本的には合意に至っており、残されているのはアロンソが希望している契約解除条項に関する詳細部分だと報じている。
だが、アロンソの立場は現在あまり有利な状況ではなさそうだ。一番の問題は、現在のF1において最高のドライバーであると称されているアロンソが、かつての天敵であったマクラーレン総帥ロン・デニスとの間で繰り広げている契約交渉というポーカーゲームにおいて明らかに自分の手元に不利なカードしかないということが分かったことかもしれない。
元F1ドライバーのデビッド・クルサードはイギリスのテレビ局『BBC』に次のように語った。
「彼(アロンソ)は、まだ別の契約がまとまっていないにもかかわらず、今の契約の解除に動いてしまったことで自分の交渉に影響を与えてしまったんだ。たとえマクラーレンがどれほど彼を欲しいと思っているとしてもね」
「アロンソはどうするつもりだろうね? 1年休みを取るかな? 1年だけスポーツカー(WEC)でレースをするのかな?」
そう語ったクルサードは、次のように付け加えた。
「市場をコントロールするどころか、今の彼にはマクラーレンに行くか、あるいは1年間F1から離れるかという選択肢しか残されていないように見えるよ」
一方、クルサードのかつてのチームメートであり、2度F1チャンピオンに輝いた実績を持つミカ・ハッキネンは、仮にアロンソがマクラーレンへ移籍してもすぐに成功を収められるかどうかは疑問だとしている。
「僕が現役のときは多くのエンジンメーカーと仕事をしてきた。最初の年から成功したことなど一度もなかったよ」
自身のスポンサーである『Hermes(エルメス)』とのインタビューでそう語ったハッキネンは、次のように結んでいる。
「自分の経験から言えば、ホンダがモータースポーツの世界でどれほど素晴らしい経験を有しているにしろ、彼らがすぐにトップに立てたなら、それは小さな奇跡だと思うね」