ジュール・ビアンキ(マルシャ)の父親であるフィリップが、F1日本GP(第15戦)決勝でのクラッシュから1週間以上が経過したものの、ビアンキがいまだに「絶望的」な状況にあることを明らかにした。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、ビアンキのイヤプラグに埋め込まれていたGセンサー(加速度計)は、92Gという信じられない数値を記録していたと報じている。
その記事によれば、ビアンキの頭部の周囲にあったカウリングは破壊されたエンジン部のそばまでずれており、高い耐衝撃性能を持つとされるモノコックもバルクヘッドからコックピットに至るまで亀裂が入っていたという。
マルシャが三重県立総合医療センターと共同で発表した声明の中で、ビアンキの家族は、ビアンキが鈴鹿サーキットで作業車にクラッシュして以来「多くの医療的挑戦に打ち勝つ必要に迫られていた」と語っている。
フィリップは、その公式発表に先駆けてイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対して次のように語った。
「医師たちは、これはすでに奇跡だと私たちに語ったよ。これほどのひどい事故で生き残った者はかつて誰もいないということだった」
「みんながジュールの容体について聞いてくるが、私には返事をすることができない。答えられることがないんだ」
そう語ったフィリップは、さらに次のように続けた。
「少し改善の兆しが見える日もあれば、悪化する日もある。あの事故によって負ったダメージは非常に大きい。今後どのように進展するのか、私たちには分からない」
「電話が鳴るたびに、私たちはそれが病院からで、ジュールが死亡したと伝えられるのではないかと思ってしまうんだ」
「もしジュールの容体が少し改善すれば、私たちは彼を転院させることができる。多分東京になるだろうが、そうすればいろんなことが少し楽になるだろう。だが、いつそうなるのかは誰にも分からない。本当にそうなるのかもね」
フィリップは次のように付け加えた。
「確実なことは何もないし、私たちはただ待つことしかできないんだ」