F1エンジンサプライヤーであるルノーの責任者シリル・アビテブールが、現在の顧客チームのひとつであるロータスが来季からメルセデスエンジンへと移行することについて、それほど大きな損失ではないと主張している。
昨年まで2年連続でチームランキング4位となっていたロータスだが、今季は不調にあえぎ、ランキングも現時点では8番手と低迷している。そのロータスが来季は今季圧倒的な性能差を誇っているメルセデスエンジンにスイッチするのではないかとのうわさがずっとささやかれていた。そして、F1ロシアGP(第16戦)が開催された先週末のソチでそれが正式に発表された。
これにより、来季ルノーエンジンを搭載するのは、実質的なワークスエンジン供給先であるレッドブルと、そのジュニアチームであるトロロッソ、そして現在最下位に沈み、チーム存続も危ぶまれているケータハムの3チームだけとなってしまう。
だが、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーはこのことに関して何ら心配はしていない。
「レッドブルにとってはあまり大きな違いはないが、ルノーにとっては、それによってレッドブル・レーシングのために完全に集中することができるようになると思う」とホーナー。
そのホーナーと同じような見方をしているのが、今季6月までケータハムのチーム代表を務め、その後古巣であるルノーへと復帰したアビテブールだ。アビテブールは、今年からF1が導入した新たなV6ターボ開発競争に出遅れたルノーの立て直しをリードしている、
来季、ロータスを失うことに関して質問を受けたアビテブールは、ロシアの記者団に対し、次のように答えた。
「詳しい話は避けるが、肝心なことは、(来季の)顧客の数は我々が選択したビジネスモデルと合致するということだ」
「だが、市場開拓という特定の理由において、我々が顧客の数を増やす必要があるのも事実だ」
「F1においては、すべてテレビやメディアによって決まってくる。だから、トップチームに注力することが肝心なんだ」
そう述べたアビテブールは、次のように付け加えた。
「もし我々がそうしたトップチームを失っていたのであれば、かなり深刻な問題だっただろう。残念ながらロータスはトップチームとは言えないし、彼らが顧客でなくなることで我々のマーケティングに対して影響を及ぼすことはないだろう」