三週間後のF1第17戦アメリカGP(10/31-11/2)で、黄旗二本振動の際、速度を制限する試みが行われる。新開発のソフトウェアによって、該当区間で自動的にスピードが落ちる仕組みである。
先週末の第15戦日本GPでジュール・ビアンキ(マルシャ)に起きた重大事故を受け、FIA(国際自動車連盟)が安全策に乗り出したものだ。事故当時、現場では二本の黄旗が振られていたが、ビアンキはマシンの制御を失った末にクラッシュした。
このテストは、ドライバー側からの提案や働きかけもあって実現する。イタリア『Autosprint(オートスプリント)』誌はフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)のコメントを掲載。彼はソチでFIAのレースディレクター、チャーリー・ホワイティングをつかまえて「問題を提起した」のだという。
「このアイデアは実現しそうだ」と、アロンソは語っていた。
「屋内カートでは主催者がボタンを握っていて、ひと押しすれば全競技者の速度を落とすことができるんだ」
アロンソと同僚のキミ・ライコネン(フェラーリ)もこの案に賛成だ。「みんなに平等なら、僕的にはまったく問題ない」
いっぽうドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、ホワイティングが11日(土)に各チーム首脳と会談を行なったと伝えた。ドライバーは今後、黄旗区間で減速の義務を順守しなければならなくなる。これを最低限の「タイムラグ」で実現するソリューションが今回の提案だと、同誌は指摘している。
こうしたF1の素早い動きにも、FIAは非難を免れない。
バーニー・エクレストンは先に独立した形での事故調査を呼びかけていたが、イタリア『La Stampa(ラ・スタンパ)』のステファノ・マンチーニ記者は、次のように断じる。「チャーリー・ホワイティングが自分自身の行いを調査したところで、(日本で)危険な判断を下しましたなどと(FIAが)認めるとは思えない」
四度のF1世界王者アラン・プロストはフランス『RMC』に、次のように話す。「FIAに議論を吹きかけたりしたくない。安全に対する彼らの取り組みには、かねがね敬服している」
「ただし、ひとつ手つかずの問題があった。黄旗がそれだ」
「(ホワイティングの調査を)うのみにはできないが、別に文句があって(いっているのではない)」と、プロスト。
「(天候等の)極限状態にあっては、リスクを取るべきではない。私が納得できないのは、その点だ」