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ビアンキの回復をただ待ち続けるしかないと専門家

2014年10月08日(水)19:32 pm

先週末のF1日本GP(第15戦)を終え、F1チームやドライバーたちは鈴鹿から8,000kmのところにあるソチへと向かった。

現地ではすでにロシアでの初のF1レースとなるロシアGP(12日決勝)に向けた準備が進められている。だが、そうした状況にあっても、F1界全体が意識不明の状態にあるジュール・ビアンキ(マルシャ)に思いをはせている。

昨年末のスキー事故でこん睡状態に陥ったミハエル・シューマッハのときと同様、ビアンキの意識がいつごろ戻りそうかということなどに関して外部の専門家たちのさまざまな意見が取りざたされている。

ビアンキの家族は、マルシャを通じて7日(火)の夜に声明を出し、ビアンキが雨の中で行われた日本GP決勝でクレーン車に激突したことによって「びまん性軸索損傷」を負っていることを明らかにした。

元F1専属医であったゲイリー・ハートスタインは、自身のブログに「彼らが勇気を持って我々に簡潔で正直なプレスリリースによって伝えてくれたことに、我々がどれほど感謝しているかを理解して欲しいと願っている」とメッセージを書き込んでいる。

ハートスタインは、シューマッハの家族やマネジャーが、ファンに対して原則として病状などを明かさない姿勢を貫いてきたことに対して批判的立場をとっていたことでも有名な人物だ。

それでも、7日に家族によって出された声明は、ビアンキの状況が実際にどういうものであるのかという推測の渦を巻き起こすことになった。

フランスのテレビ局『BFMTV』で健康コンサルタントを務めるアラン・デュカルドネは、家族が発表した“びまん性軸索損傷”という診断は「我々が期待していたものではなかった」と述べ、次のように続けた。

「そうであれば、我々は今後、一見して回復するかどうか分からない状態のまま、ただ待ち続けることになるだろう。もしその損傷が元に戻らないようであれば、なおのことだ」

ビアンキのファンや関係者の中には、フェラーリの働きかけによりFIA(国際自動車連盟)の協力医であるジェラール・サイヤン教授がビアンキの元を訪れたことに慰めを見いだした者もいるかもしれない。サイヤン教授はシューマッハやFIA会長であるジャン・トッドとも親しい関係であることが知られている。

だが、サイヤン教授がビアンキのために何ができるかとの質問を受けたハートスタインは、『20minutes.fr』に対し、「何もないだろう」と答えている。

ハートスタインは続けた。

「私は、彼(サイヤン)がそこにいるのは精神的支援の意味のほうが大きいと思う。彼はビアンキが2010年にハンガリーでGP2のレース中に深刻な事故を起こしたときにもそこにいたしね」

「彼はもう何年も自分で手術は行っていないし、彼の専門分野は脊椎(せきつい)損傷なんだ」

今回のビアンキの事故は、F1に大きな波紋を広げることとなり、ルール変更の必要性を訴える者や、ドライバーの頭部を守るためのキャノピーのようなカバーをF1カーに取り付けるべきだというような議論を展開する者も現れている。

こうした動きに関し、ハートスタインは次のように述べた。

「ビアンキがまだ生きているということは、現在のF1がどれほど安全かということを示すものだ」

「私は、F1は非常に高度な安全基準に達していると思っている。だが、常に改善の余地があることも明らかだがね」

一方、1995年にオーストリアのアデレードでのクラッシュにより頭がい骨骨折というひん死の重傷を負った経験を持つ元F1ドライバーのミカ・ハッキネンは、コックピットを覆うカバーを付けるという案も無視すべきではないとオーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に次のように語った。

「もしそれで命が救われるのであれば、我々はあらゆる選択肢を検討して、危険をさらに減らしていかなくてはならない」

一方、『Speedweek(スピードウィーク)』は、日本の捜査当局がマルシャがロシアへと向かう前にチームからパーツ類を押収したといううわさが流れたものの、これは真実ではないと報じている。

だが、マルシャのチーム代表であるジョン・ブースやスポーティングディレクターのグレアム・ロウドンも当初予定していたロシア行きの便をキャンセルしてビアンキとともに日本にとどまっているとも報じられており、マルシャが今週末のロシアGPにどのように取り組むことになるのかについては、まだ何も情報が伝えられていない。

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