マクラーレンとホンダは、FIA(国際自動車連盟)の管理下で行う公式テスト以外に、試作車で私的にテストを計画している模様だ。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌によると、MP4-29Hと呼ばれる「試作車」の存在が鈴鹿で明らかになった。現在、マシンにホンダの新V6ターボを積む作業を行なっているのだという。
車輌名の「H」はホンダを意味するものと思われる。おそらく、メルセデス・エンジン用の今季マシンをホンダ製に合わせるべく改造中なのだ。
共同で試作車を製作するなど、マクラーレンとホンダは2015年シーズンに向けてユニークなアプローチを計画している様子がうかがえる。
そのMP4-29Hだが、これまでは最終戦アブダビGP後の合同テストでデビューするものと思われていた。
ところが、今はそうともいい切れない。
ロン・デニスは、次のように話していた。「われわれとしては、アブダビGP後に時期をみてあのクルマの走行を始めるつもりだ」
「メルセデスの立場を尊重して最終戦後の日程とするが、正確にいつかは分からない」
ところが表向きには、F1チームはFIAが決めた制限を越えて自由にテストをすることは許されない。
2015年シーズン前に行う最初の公式テストは2月のスペイン・ヘレスだ。
しかし、わざわざ2014年型マシンにホンダ・エンジンを載せて特別車を作るのは、どこに意味があるのだろう。2015年型車はヘレスに間に合わないのか?それとも彼らは独自にプライベートなテストを行う計画でも練っている?
スポーティングディレクターのエリック・ブーリエは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように話す。「エンジン製造会社間には紳士協定が存在する。公式に日程が決まったテスト以外では実車を走らせないというものだ」
「だが、われわれは好きなようにテストができる。ホンダは(まだ)公式にF1世界選手権の一部ではないからだ」
この考えに難色を示す者がいる。メルセデスAMGのトト・ヴォルフだ。
「実験車だか何だか知らないが、エンジンを積んで勝手に走り回れるわけがない。明らかに規則違反だ」
ホンダはまだ正式にF1の一部を成していないといったブーリエの理論は通用しないと、ヴォルフは次のように話す。
「マクラーレンは一チームとしてF1に組み込まれている」「もし彼らが(2015年向けに)エンジン供給会社と手を組んだのなら、”私たちはそれがどんな会社か知りません”とは口が裂けてもいえないだろう」
「この場合、規則はきわめて明白だ」と、ヴォルフ。
いずれにしろ、ブーリエは2015年型マシンMP4-30が2月にヘレスで最初に行われる合同テストを走らないかもしれないと認めている。
彼は次のように語った。「問題ない」「われわれには何のプレッシャーもないのだ」