フォース・インディアの技術責任者アンドリュー・グリーンにいわせると、2015年規則から、2チームがすでに出足で「大きく先行」しているという。
今年のノーズは、ただの不格好から不可思議なものまでさまざまな形をしている。この事態を収拾しようとFIA(国際自動車連盟)は、2015年の規則に変更を加えた。
この変更で標的となったのは、ロータス、フォース・インディア、トロロッソ、マクラーレン、そしてケータハムのノーズ形状だ。彼らは来季に向けてマシン前部の設計を基本からやり直さなければならない。
これに比べて多少、控えめなデザインで今季に臨んだのはレッドブルだ。それでもデザイナーのロブ・マーシャルによると、2015年規則に合致するための変更は相当大がかりになるという。
初期段階の風洞実験で、マーシャルは次のように語った。「あれほど(ダウンフォースを)失うとは驚いた」
フォース・インディアのグリーンもマーシャルと同じ意見だ。「最初のテストで正面から風をあててみたところ、ダウンフォースは20パーセントも落ちた」
そのいっぽう、2015年の規則変更で得をしたチームもある。来季のF1は、現時点で2チームが採用しているタイプのノーズがグリッドに並ぶという。そのチームとは、フェラーリとメルセデスAMGだ。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、いずれのマシンも、2015年規則で定められた形によく似たノーズだと指摘する。
フェラーリもメルセデスAMGも「絶好のスタート」を切ったとグリーンは話す。特に、メルセデスAMGの現行モデルW05は驚くほど短いノーズだが、時間と金ばかりかかる毎年の耐衝撃テストに今からパスしたも同然の形をしている。
このノーズこそ、同マシンの持つ「空力哲学」を象徴しているとグリーンはいう。いい換えれば、メルセデスAMGとフェラーリのライバルたちは、その哲学を「手間ひまかけて」習得しなければならないのだ。