かつてフェラーリのテクニカルディレクターとして活躍し、昨年までメルセデスAMGのチーム代表を務めていたロス・ブラウンが、F1への復帰をあらためて否定した。
これまでフェラーリで絶対的権威をふるっていたルカ・ディ・モンテゼモーロが会長職を降りたことで、フェラーリのF1チームの運営体制にもまた動きがでてくるのではないかと考えられている。こうした中、ブラウンのフェラーリ復帰が、その中心的な動きのひとつとなるのではないかとの推測も行われている。
昨年限りでF1から離れ、現在は旅行や趣味のフライ・フィッシングにふけりながら引退生活を楽しんでいる59歳のブラウンは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に現在の心境を次のように語っている。
「今年はこれまでとはすごく違う生活を送っているし、それが気に入っているんだ」
「私はフルタイムでの仕事に戻るつもりはないね」
そう語るブラウンだが、だからといってフェラーリが彼に誘いをかけていないということにはならない。
ほんの数日前、フェラーリのチーム代表であるマルコ・マティアッチは、5月にブラウンがマラネロのフェラーリ本部を訪れた際に短い会話を楽しんだと語ったばかりだ。
しかし、ブラウンは次のように主張した。
「現時点ではフェラーリだろうがどこであろうが、仕事をするつもりはないんだ」
「私が5月にマラネロを訪れたのは、純粋にプライベートなものだったんだ。我々は”もし復帰したら”みたいなことも少し話はしたが、それは真剣なものだったわけじゃないよ」
「それ以降、話し合いは全く行われていないし、そういう方向で考えたこともないね」
ブラウンはさらに、自身が在籍していたころは伝説的ドライバーであるミハエル・シューマッハとともに大成功を収めていたフェラーリだが、F1経験のないマティアッチをチーム代表に据えたことを含む最近の変革によって現在の状況がすぐに変わることはないだろうとし、次のように続けた。
「マルコ・マティアッチに何ができるのかということを示すための時間を与える必要があるよ」
「私はフェラーリと連絡を取り合ったりなどはしていないし、積極的にF1でまた何かやりたいと思っているわけでもない」
そう述べたブラウンは、次のように締めくくっている。
「今後どうなるかは分からないよ。どういう選択肢が現れるかなど絶対に分からないからね。だが、現時点においてはF1以外のことに楽しみを見つけているんだ。これまでそういうことをする時間は全く持てなかったからね」