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F1イタリアGP勝敗の鍵はハミルトンがかけ続けたプレッシャー

2014年09月08日(月)20:46 pm

F1第13戦イタリアGPで1-2フィニッシュを決めたメルセデスAMGだが、ドライバー2人の勝敗を決したのは、優勝したルイス・ハミルトンのアグレッシブな姿勢だった。

ハミルトンは予選でポールを獲得したが、スタートで4位に転落。しかしその後、トップを走るチームメートのニコ・ロズベルグの後方まで追い上げ、タイヤ交換したあとに猛烈な速さでロズベルグに迫った。その3周後にロズベルグは1コーナーのシケインでオーバーラン。エスケープゾーンを直進して、その間にハミルトンがトップを奪った。

■陰謀説に反論するヴォルフ

3度F1チャンピオンに輝いたジャッキー・スチュワートはこのシーンについて、「“おいおい、何が起きているんだ?”と思ったよ」と話す。

「(ロズベルグは)少なくともコーナーを曲がる努力ができただろうに、そうしなかった」

前回の第12戦ベルギーGPでは、ロズベルグがハミルトンに接触してハミルトンはその後リタイアした。チームはこの責任がロズベルグにあるとして制裁を科したという。

このため、ロズベルグが罰として「故意に」優勝を譲らされたのではないか、という陰謀説をとなえる者もいる。

メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、そうした陰謀説を厳しく非難している。

ロズベルグがオーバーランした直後に、国際映像ではヴォルフがほほ笑んでいる姿が映ったが、それはあの時の映像ではなかったという。

「あれを見つけてああいう形で挿入しようとした人間は、頭がどうかしているに違いない」

「第一に、あれは生じゃなかった。時間がずれていたんだ」とヴォルフは批判している。

チームとロズベルグがハミルトンに優勝させてやったのではないかという説については、「そんなことを考え出すのは、被害妄想の人間だけだ」とヴォルフ。

「ニコには大きなプレッシャーがかかっていたと思う。ルイスは昨日(予選)非常に速かった。今日も速かったのは見て分かっただろう」

■ロズベルグはなぜ直進してしまったのか

ロズベルグは首位を明け渡した場面以前にも、1コーナーのシケインを直進していた。

「あれはちょっとおかしな感じに見えたかもしれないけれど、僕はフリー走行でもやった」とロズベルグ。

「あんなことをわざとしなきゃいけない理由なんてないよ。みんなの頭の中にはスパのことしかないんだろうけれど、スパはミスであって、僕は謝罪した」

ロズベルグは、ブレーキをロックさせて曲がろうとせずに直進した理由について、タイヤに「フラットスポットができたかもしれない」からだと話している。

またロズベルグは、ブレーキに不安を抱えていることを『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に話している。

「シーズン開幕当初から、ブレーキが100%じゃないんだ」

「この問題を新しい素材のディスクで解決したかったけれど、ホッケンハイム(第10戦ドイツGP)でルイスに事故が起きて、保留になっている」

また、『Bild(ビルト)』紙はロズベルグの次のコメントを紹介している。

「ミラーに映るルイスの姿がどんどん大きくなっていた。それで僕はブレーキングをどんどん遅らせていたんだ」

「(ミスの瞬間)最初に思ったのは“クソ!”だった」

■エンジニアの戦略より攻撃を選んだハミルトン

一方ハミルトンは、自分がかけたプレッシャーにロズベルグが負けたのを見て大いに喜んでいる。

「2戦くらい前にもやったんだ。彼は気に入らないみたいだね」

「だから、もうちょっとやってみるよ」

タイヤ交換直後、ハミルトンのエンジニアはレース終盤に備えてロズベルグとの差を少しあけるよう指示していたが、ハミルトンはそれに従わず、ペースを上げ続けた。

「彼ら(エンジニア)は僕と同じくらい勝ちたがっているよ。だから自分たちが考えるほうに僕を導こうとしただけ」

「でも結局のところコースにいるのは僕であって、自分で決断しなきゃならなかった。“うん、少しひいてタイヤをいたわることもできるけれど、その逆のほうがいいかもしれない”とね」

「僕がプレッシャーをかければ、いつかチャンスがやってくると分かっていたんだ」とハミルトンは語っている。

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