F1第13戦イタリアGPに投入したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)の「新しい」シャシーは、今季ここまでマシン性能をうまく引き出している好調のダニエル・リカルドが使用していたものではなかった。
ドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』は、リカルドに別のRB10をあてがって、タイトルを狙えそうな彼のマシンをベッテルに与えようかと、チームが少しのあいだ検討したと伝えている。
二週間前の第12戦ベルギーGPではリカルドのペースに歯が立たなかったベッテル。今週末のモンツァで使っているのは、今までの「スージー(ベッテルが代々の使用シャシーにつける愛称のひとつ)」とはまったく別物だ。
本人は次のように語っている。「(旧シャシーで)いくつか発見したことがあったんだ。ここモンツァで役に立つはずだよ」
実際「新シャシー」は「新古」らしいが、ベッテルは、苦戦中の2014年にあってシャシー変更は大きな意味を持つものではないという。
「もともと、シーズンのどこかで取り替える計画だった」と、モンツァで報道陣に語るベッテル。「別に珍しい話じゃないよ」
「ベルギーがあまりよくなかったので、この機会にありとあらゆるところをチェックすることに決めたんだ」
二度のF1世界王者ミカ・ハッキネンは、いずれベッテルはスランプから脱するとみている。
「時間とともにベッテルは再びマシンを好きなように操って、アタックする姿勢を取り戻す」と、彼はドイツ『SID通信』に語る。
しかし2014年F1世界タイトルについては、すでにベッテルの挑戦権はないに等しい。
F1 CEOのバーニー・エクレストンは、ベッテルの僚友リカルドが、チーム内バトルに忙しいルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とニコ・ロズベルグ(同)を相手に孤軍奮闘すると予想している。
「リカルドにだって今季世界チャンピオンの可能性はある」と、オーストリア『Kronen Zeitung(クローネン・ツァイトゥン)』紙に話すエクレストン。
「開幕当初はメルセデスAMGがはるか先に行くものと確信していたが、今はそこまでいい切る自信がない」と、エクレストンは話す。
最終戦アブダビGPのポイント二倍付与制度は評判こそ悪いが、それがあるからリカルドのチャンスはさらに増すとエクレストンはいう。おまけにチームオーダーの可能性だってある。ベッテルがいうことを聞いてリカルドを援護すればの話だが。
もっとも、いつも笑顔のリカルドはこれに否定的だ。
「そんなのまだ早すぎるよ」と、彼はモンツァで話す。
「シーズン終了まで3、4戦のところでタイトル取りのチャンスがありそうなら、もしかすると話をするかもしれないけどね」