F1も約1か月に及んだ夏休みを終え、22日(金)にベルギーGP(24日決勝)の開幕を迎えた。その舞台となるスパ・フランコルシャンで一番の話題となったのが、来季F1最年少デビューを飾ることが決まった現在16歳のマックス・フェルスタッペンのことだった。
「少なくとも、レッドブルの宣伝活動はうまくいっているよね。なぜって、ほとんどすべての質問がそのことについてだからね」とほほ笑みを浮かべながら語るフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)。
「まず、ただ彼らが持ち込むお金のことじゃなく、才能のあるドライバーに興味を示したチームがあるというのはいいことだよ」
オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』紙にそう語ったウィリアムズのフェリペ・マッサは、次のように付け加えていた。
「マックスはちょっとばかり若いけれど、どういう結果になるか様子を見ないとね」
スパでのほかのドライバーの意見は、ほぼこのマッサのコメントと同じようなものだった。17歳でF1デビューすることになるフェルスタッペンは非常に若いことは間違いないが、自分の力でF1デビューを勝ち取ったのであり、そのチャンスを両手でしっかりとつかむべきだという考えだ。
現在ポイントランキングのトップに位置するメルセデスAMGのニコ・ロズベルグは次のように語った。
「記者のみんなは常に、『F1に昇格するために必要なのは金だけなのか?』と問いかけているよね。だから才能があってそれにふさわしいドライバーが出てくるのは素晴らしいことだよ」
アロンソも「年齢なんて、単にパスポートに書かれているだけだよ。17歳でF1に上がれる者もいるだろうし、29歳になってもダメな者もいるだろう」と付け加えた。
現在のF1ドライバー中最多F1出走数を誇るマクラーレンのベテランドライバー、ジェンソン・バトンは、14年以上も前にフランク・ウィリアムズ(ウィリアムズ/チーム代表)から、F1でやれる自信はあるかと電話をもらったときのことを思い返した。彼はそのとき19歳だった。
「最初は、ノーだと答えたよ」とバトンは語ったが、21日(木)に質問を受けたドライバーはほとんどが、そのときのバトンの考えに賛同しているようだ。
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、実際にF1デビューを飾った2007年よりずっと以前にF1デビューしたいと考えていたものの、それについてはマクラーレンの首脳陣や自分の父親からたしなめられたとブラジルの『Totalrace(トータルレース)』に次のように語った。
「僕が実際にF1デビューしたときには、それにふさわしい状態になっていた。だから僕はうまくやれたんだ」
「でも、ドライバーはそれぞれ違う道をたどるものさ。例えば、キミ(ライコネン/フェラーリ)にはそれほど経験はなかったしね」
2001年にジュニアカテゴリーであるフォーミュラ・ルノーから一足飛びにF1デビューを飾ったライコネンについて、当時は早すぎるとの意見が大勢を占めていた。そのライコネンはフェルスタッペンのデビューに関して次のように語った。
「僕はうまくやれたよ。彼(フェルスタッペン)がどうなるかは時間がたてば分かるさ」
「F1は以前よりも取り組みやすくなっているし、彼が問題を抱えるとは思わないよ。僕は彼がうまくやることを期待している」
エイドリアン・スーティル(ザウバー)も、フェルスタッペンが今回のチャンスをつかんだのは正しいことだと次のように述べた。
「それは唯一のチャンスかもしれないからね。僕ももし17歳か18歳のときに電話をもらったとしたら、多分同じようにしたと思う」
だが、アロンソは、最近の数日においては、レッドブルは若くて経験のないフェルスタッペンと契約するより、同郷の若手ドライバーであるカルロス・サインツJr.を昇格させるべきだったという指摘をしていた。
「19歳のカルロスのほうが力は上だと思うんだ。彼はフォーミュラ・ルノー3.5シリーズでランキング首位を走っているし、素晴らしいドライバーになれる資質を持っているからね」
そう語ったアロンソは次のように付け加えた。
「遅かれ早かれ彼もF1に上ってくると確信しているし、それについては心配はしていないよ」
かつて、現在のトロロッソの前身F1チームであるミナルディを率いていたジャンカルロ・ミナルディもそのアロンソと同じような意見を持っているようだ。
「今回の動きには驚かされたよ」と『El Confidencial(エル・コンフィデンシアル)』に語るミナルディ。
「これは何年もレッドブルの若手育成プログラムに所属していたカルロス・サインツJr.にとっては打撃となるからね」
「今季を見る限り、(2015年には)トロロッソにはサインツJr.が加わり、クビアト(ダニール・クビアト/トロロッソ)がセバスチャン・ベッテルに代わってレッドブルのシートを得るだろうと思っていたよ」
そう語ったミナルディは、次のように付け加えた。
「ホンダがトップドライバーを獲得しようと強い決意で臨んでいることを忘れてはならないし、アロンソやハミルトン、そしてベッテルも、みんな現在の状況には満足できていないからね。このあとすぐに、将棋倒し的にいろんな変化が起きるんじゃないかな」