今週末のF1第12戦ベルギーGPを欠場するのは、小林可夢偉(ケータハム)ばかりではない。
可夢偉の代役で32才のドイツ人アンドレ・ロッテラー(ケータハム)がF1デビューするかたわら、22才の米カリフォルニア州出身、アレクサンダー・ロッシもF1デビュー戦を迎える。
ロッシは最近、ケータハムF1創業者トニー・フェルナンデスの撤退をきっかけに同チームのテスト役を降りて、マルシャと契約を交わしたばかり。
いっぽうで、ベルギーGPの日程が迫るにつれ、財政危機に貧したマルシャがスパに向かうかどうかの瀬戸際とのうわさが流れた。
そして21日(木)、衝撃的なニュースが伝わった。正ドライバーのマックス・チルトンに代わってロッシがマシンに乗るというのだ。
もとよりスポンサー資金豊富とみられていたチルトンだったが、マルシャは、「契約上の問題が解決するまで」欠場するとしている。
「今季アレクサンダー(ロッシ)に正規シートの可能性をオファーするつもりはなかったが、事情により、彼にF1デビューのチャンスを提供することとなった」と、チーム代表のジョン・ブースはいう。
スパのパドックでは、副代表のグレアム・ロウドンが報道陣に次のように語っていた。「契約の問題が解決するまで、マックス(チルトン)に運転させるのは適当ではない」
ところがチルトン側の話は内容がことなる。そこには、グリッド後方の穏やかならぬ事情がみえてくる。
チルトンのマネージメントは声明を出し、チームが彼の「シートを売れば参戦資金の足しになる」ことから、ベルギーを「自主的に」欠場すると発表したのだ。
「現在マルシャは複数の投資家と交渉中だ」と、チルトンの声明は現在の状況を説明する。「次戦イタリアGPの前までにこの状態を脱するみこみ」だという。
ブースは、次のように話している。「もちろん、なるべく早くドライバーの組み合わせを元通りにして、通常のチーム運営を再開したい。だが今のところ、アレクサンダーにがんばってもらうしかない。彼の走りに期待している」