ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、F1ドイツGP(20日決勝)予選でのブレーキトラブルを受け、決勝は別メーカーのブレーキディスクを使用する。
ドイツGP予選Q1でブレーキトラブルから大クラッシュしたハミルトンは、ひざを打撲した。Q2以降は出走できなかったため、予選16番手に終わっている。
■安全上の理由でメーカーを変更
ハミルトンはブレンボ製のブレーキディスクを使用しているが、決勝はチームメートのニコ・ロズベルグと同じカーボン・インダストリー製のディスクを使用することをチームは選択した。
「この短時間でなぜディスクが破損したのかを突き止めるのは不可能だ」とメルセデスAMGのビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは話している。
予選後にF1マシンの仕様を変更することはルールで禁止されており、決勝前のブレーキディスクのメーカー変更はピットレーンスタートになる。しかしチームは、安全上の理由だと主張し、例外扱いを求めているようだ。
■シーズン前のテストでも同様のトラブル
実は、メルセデスAMGでブレンボ製ディスクにトラブルが出るのは今年初めてではなかった。ロズベルグもシーズン前のバルセロナテストで同様の問題を経験している。
メルセデスAMG非常勤会長のニキ・ラウダは怒り心頭だ。ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えている。
「ブレンボは、この素材を補強すると約束した。それなのに同じことがまた起きるとは、到底受け入れられない」
「このブレーキは決勝では使わない」とラウダは明言している。
予選でハミルトンが使ったブレーキディスクは、いつも通り土曜午前のフリー走行3回目終了後に交換した新しいものだった。
「この製品はさらに少し攻撃的なものだ。だがそれは、こういったことが起きる説明にも言い訳にもならない」とヴォルフも語る。
■2014年ほかのチームでもブレンボ製にトラブル
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、ブレンボ製ディスクを使っているほかのF1チームでも2014年はトラブルが出ているという。トロロッソ、ザウバー、マルシャ、ケータハムだ。
ブレンボは最近、素材の供給先の1つを変更しなければならなかったという。
ブレンボを使っていて2014年にトラブルが出ていないフェラーリでは、2013年のブレンボ製ディスクをストックしてあると記事は伝える。
ハミルトンは、純粋にブレーキの感触でブレンボ製を選んで使ってきたため、メーカー変更は二重の痛手と言える。
決勝では後方からの追い上げを決意しているハミルトンだが、予選でのクラッシュはチャンピオン争いでリードしているロズベルグにとって「またプレゼント」になってしまったと話している。
「僕たちのペースがあって、ポールで前に誰もいなければ、ニコは3周目か4周目には何秒も引き離しているだろう」