今週40名以上の従業員を解雇したケータハム。F1第10戦ドイツGPのパドックでもっとも神経をとがらせているのは、緑のマシンに乗るドライバーふたりかもしれない。
そのうちマーカス・エリクソンはスポンサーから潤沢な資金を得ているだけに、おそらくシートは安泰だろう。一方、エリクソンよりはるかに少ない持参金でドライブしているのが小林可夢偉である。そもそも、持ち前の闘争精神と経験を買って前オーナーのトニー・フェルナンデスが契約したものだ。
可夢偉はホッケンハイムで次のように語った。「もし明日、好結果を出さなければ、その日のうちに解雇されるでしょうね」
チームの権利が移ったばかりのケータハムに、あるうわさが流れている。同じく今季グリッド後方で不振にあえぐザウバーもこれに関係しているようだ。
ここに至って今季1ポイントも奪えない現実を鑑みて、チーム代表のモニシャ・カルテンボーンは、エステバン・グティエレスとエイドリアン・スーティルの両ドライバーに全幅の信頼を置く気にならない。
「われわれのチーム史上、これほどひどい状況に陥ったことは未だかつてありませんね」と、カルテンボーンはドイツの報道陣に話す。
ドライバーの満足度について質問されると、「私にとって受け入れられるものではありません。チームのパフォーマンスに不満です」と答える始末だ。
これと時をほぼ同じくして、スーティルのマネージャー、マンフレート・ツィマーマンの姿がパドックにあるケータハムのモーターホー厶で見受けられた。
ザウバーでスーティルの立場が危うくなるなか、ケータハムのアドバイザー、コリン・コレスはチームの収入を増やすチャンスと見て取ったのか?
「問題はチームが何を望んでいるかでしょうね」と、自らの行く末をおもんばかる可夢偉。
「他のドライバーに比べて僕には経験があります。自分の仕事に集中するだけですよ。金銭面で貢献できることはありませんから」
「金を持ってくるドライバーにシートを奪われるのはしかたありません。残念だけど、これがF1です」
チーム代表のクリスチャン・アルバースもドイツGPのパドックでその事実を認めた。多くの従業員を数日前に解雇したばかりだ。ドライバーも例外ではない。
「どんな商売でもいえることだが、われわれは常に全従業員の評価を行っている」と、F1公式ウェブサイトに語るアルバース。「ふたりのドライバーも同様だ」
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