フェラーリの新たなチーム代表となったマルコ・マティアッチが、フェラーリを再び勝てるチームにするためには、チームに変化をもたらすことも恐れていないと語り、今後大きな改革に臨む可能性があることを示唆した。
前任者であるステファノ・ドメニカリはすでにフェラーリを去っているが、最近F1関係者の間ではエンジン責任者のルカ・マルモリーニも現状の不振の責任を取らされるのではないかとうわさされている。
「具体的な名前を出すことはしないよ」
F1イギリスGP(6日決勝)が開催されているシルバーストンで『Autosprint(オートスプリント)』にそう語ったマティアッチは、今後フェラーリを立て直してゆくためには人事にも手を付ける可能性があることをほのめかした。
■ライコネンは調子を取り戻す
だが、マティアッチは、現在は不振にあえぐ2007年のF1チャンピオン、キミ・ライコネンに関する質問を受けると次のように答えた。
「キミは素晴らしいチャンピオンだよ」
「誰か1人の問題について話しても意味のないことだ。これはチーム全体としての問題なのだからね。彼はまた素晴らしいドライバーとして復活するよ」
■これからのフェラーリをリードするのはアリソン
しかし、マティアッチは、フェラーリではチームの「メンタリティーを変化」させ、「もっとリスクを取る」ことが必要だと主張。そしてそれをリードしていく役割を負うのはテクニカルディレクターのジェームス・アリソンになるだろうとしている。昨年の9月にフェラーリに加わったアリソンは、それまでかなり少ない予算の中で、ロータスで革新的なクルマを造り上げ、その名を高めていた。
「彼は私の右腕だよ」、とマティアッチもアリソンに対して大きな信頼を寄せていることを認めている。マティアッチのこうした姿勢は、前テクニカルディレクターであり、現在はエンジニアリングディレクターを務めるパット・フライの影が薄くなってきつつあることを感じさせるものでもある。
■最大の問題はエンジンにあり
だが、マティアッチは、現在フェラーリが抱えている問題は「過去何年間」の間に行われた選択に端を発するものだとし、問題を抱えていた風洞施設や、コンピューターによるシミュレーションをあまり重要視してこなかったことがその一端として上げられると語った。
そして、マティアッチは、最大の問題は今季から導入されたV6ターボによるパワーユニットだと指摘している。
「現在ウィリアムズがあれほどの強さを発揮していることからすれば、重要な要素はエンジンだということになる。そしてレッドブルも危機的状況にあるなどとは思っていない」
そう語ったマティアッチは、次のように付け加えた。
「対応するためには時間が必要だ」