今シーズン、圧倒的な強さを誇るメルセデスAMGだが、今週末のF1イギリスGP(7月6日決勝)に臨むに当たって、より大きなプレッシャーを感じているのは母国レースとなるルイス・ハミルトンのほうだろう。
ハミルトンは最速のクルマを手にしているが、それはチームメートのニコ・ロズベルグも同じであり、現時点ではシーズン序盤に4連勝を達成したハミルトンよりもF1タイトル獲得に近い位置にいる。
ハミルトンとロズベルグの間には心理的な戦いの要素があることは疑いようのないことだ。少年時代からよくお互いを知っている2人だが、その友情はひと月前のモナコGP(第6戦)でほぼ崩壊している。
だが、モナコでは激しいやりとりが行われたものの、その後、2人の間には、コースの上での戦いと、レースとレースの間に少しばかり心理戦的な発言が繰り広げられるという状態が保たれているようだ。
だが、お互いに相手を意識的に刺激しようとするとげとげしいコメントが増えていることは否めない。
例えば、ロズベルグは、今季3勝目を飾ったオーストリアGP(第8戦)の後で、「僕のほうに勢いがあるということが分かるのはいい気分だよ。間違いなくいいことさ」と語り、ハミルトンへさらにプレッシャーをかけるような発言を行っていた。
一方のハミルトンはイギリスのメディアに対し、かつてロズベルグと一緒にカートを行っていたころに言及し、次のように語った。
「ニコは速かったよ。でも、ロバート・クビサほどじゃなかったね」
ハミルトンはさらに、現在ロズベルグが自分に対して29ポイントのリードを築くことができたのは、自分が2度もトラブルによるリタイアに終わったことが幸いしているだけだと主張し、次のように付け加えた。
「僕はニコにすべてのレースで完走して欲しいよ。そうすれば、僕は彼が問題を抱えたからリードできているんだなんて言わずに済むからね。そうなれば、僕のほうがいい仕事をしたというだけなんだ」