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レッドブル、ルノーのF1エンジン製造部門を買収か?

2014年06月26日(木)16:38 pm

レッドブルが独自のF1エンジン製造を検討しているといううわさが消えるどころか、さらに大きくなっているようだ。

昨年まで4年連続でF1タイトルを獲得してきたレッドブルだが、今季はすべてが新しくなったエンジンルールのもと、シーズン序盤から苦戦の連続。カナダGP(第7戦)ではダニエル・リカルドが優勝して今季初めて優勝を遂げることができたものの、それもメルセデスAMGのトラブルに助けられてのものだった。

シャシー性能には絶対的な自信を持つレッドブルだけに、その矛先はエンジンサプライヤーであるルノーへと向けられていた。だが、なかなかルノーエンジンの改善が思うように進まない中、レッドブル首脳陣は何度かF1エンジンの自社製造を検討していることをにおわせるような発言を行っていた。

そして、先週末F1オーストリアGP(第8戦)が開催されたレッドブルリンクにおいて、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコがその計画があることを事実上認めるような発言をしたことで、そのうわさがさらに大きくなっていた。

だが、今週に入って、レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツ、さらにはチーム代表のクリスチャン・ホーナーが「レッドブルエンジン」のうわさを明確に否定。「レッドブルはエンジンメーカーになろうとは思っていない」と口をそろえていた。

だが、実際にはこの話はそれほど単純なものではなさそうだ。

■ルノーにF1エンジン部門売却のうわさ
現在、F1公式エンジンサプライヤーとして、レッドブル以外にもロータス、トロロッソ、ケータハムにエンジンを供給しているルノーは、少し前に、いくつかのチームにおいてエンジン代金の支払いが滞っていることを明らかにしていた。

そして、最新のうわさでは、レッドブル以上にエンジンの非力さに泣かされているロータスが、来季からメルセデスエンジンに切り替えることを検討していると言われている。

そして、先週末のレッドブルリンクのパドックでは、ルノーはパリ南部の町ヴィリーにあるF1エンジン製造施設を売却しようとしているといううわさがささやかれていた。

そうなると、レッドブルでは「エンジンメーカーになる」のではなく、その施設を買収し、オーナーになるという可能性は出てきそうだ。

ホーナーは、『El Confidencial(エル・コンフィデンシアル)』に次のように語っていた。

「我々はエンジンメーカーになろうなどという野心は持っていないよ。だが、競争力を上げ、トップとなるために、力のあるパートナーと一緒に取り組んでいきたいと思っている」

レッドブルと、そのジュニアチームのトロロッソは、今季のシーズン開幕前に危機的な状況に陥っていたルノーの問題を解決するために、実際にかなりの作業協力を行うとともに、すでに財政的支援も行ってきたとされている。

『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』は、レッドブルではエンジンメーカーになりたいと考えているわけではないが、今後のF1における成功を目指す上で「独自性の強い」チームとしていきたいと望んでいると書いている。

レッドブルや、オーナーのマテシッツと非常に親しいことで知られている元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは次のように語っている。

「シャシーメーカーとして、レッドブルは供給されるエンジンをそのまま受け取るしかないんだ。チームがたとえ悪いシャシーを造ったとしても、エンジンメーカーには供給義務があるようにね」

■現実味を帯びるレッドブルのルノーF1エンジン買収
そこで見えてくる現実的な解決策が、レッドブルがルノーのF1製造施設を買収することだろう。そうすれば、レッドブルはすでにそこにいる人材や、意思決定、そして予算などに関しても独自にコントロールしていくことができるわけだ。

そして、そこには重要なカギを握ることになると考えられている人物もいる。エンジンメーカー、イルモアの創設者のひとりであるマリオ・イリエンだ。イリエンが立ち上げたイギリスのブリックスワースにあるイルモアの施設は、現在はメルセデスに買収され、そのF1エンジンを製造している。

イリエンについては、レッドブルが新規に立ち上げを発表した「アドバンスト・テクノロジー・センター」への加入のうわさもある。その部署は、現在のレッドブル最高技術責任者であるエイドリアン・ニューイによって統率されることになっている。

マルコもこれに関し、「エイドリアンとマリオの間で契約が結ばれればなおさらいいだろうね」と語っていた。

■F1で勝つためにはワークスエンジンが必須
レッドブルにとって、F1が新たに迎えた「パワーユニット」時代への取り組み方を再考するにあたり、いい参考となるのがマクラーレンだ。

イギリスの名門F1チームであるマクラーレンだが、今季は最強と言われるメルセデスエンジンを搭載しているにもかかわらず、ここまで苦戦が続いている。これは、マクラーレンはメルセデスにとって単なる顧客でしかないからだ。同じメルセデスエンジンとはいえ、自らのチームで使われるワークスエンジンと、顧客チームに販売するカスタマーエンジンとの差は歴然だ。

だが、マクラーレンでは来年からエンジンサプライヤーとしてF1復帰を果たすホンダと手を組み、ワークスエンジンを手に入れることができることになっている。

マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは今週、メディアに次のように語った。

「ワークスエンジンを手にすることができれば、カスタマーエンジンに比べてさまざまなチャネルが増え、可能性も大きくなる」

「メルセデスAMGとレッドブルがいい例だよ。我々は誰もがレッドブルのシャシーが非常に優れていることは知っているし、多分、メルセデスAMGのものよりもわずかだが上を行っているだろう」

そう語ったブーリエは、次のように付け加えている。

「だが、大きな違いがルノーエンジンだ。あれはワークスエンジンではないからね」

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