2016年を目指して独自にエンジン開発を行うプロジェクトをディートリッヒ・マテシッツが承認の見通し。このようなかずかずの憶測をマテシッツが否定した。
こうしたうわさは、マテシッツの右腕的存在、ヘルムート・マルコ博士の発言で火に油が注がれたかっこうとなった。マルコは、パンクルやAVLのようなオーストリアの一流企業との技術提携を「決して否定できない」と語ったのだ。
「代案にはすべて目を向けている」
普段ほとんどF1パドックに姿を見せないマテシッツだが、先週末のF1第8戦オーストリアGPは、珍しく自ら所有するレッドブルリンクを訪れていた。
ドライバーズとコンストラクターズの両F1世界選手権を4年連続で独占後、2014年は苦戦しているレッドブルについて、さすがのマテシッツも折り合いをつけるしかないと話している。
「これもスポーツだ」とオーストリアのマスコミに語るマテシッツ。「この4年半、ほとんどすべてを勝ち取ってきたからね」
「しかし、そんなことは永遠に続くわけがない。それに、なぜ他チームの後じんを拝しているか理由は分かっている」
マテシッツのいう、その理由がルノーを指しているのはいわずもがなだ。レッドブルにエンジンを供給する彼らは、性能で劣っている。
F1グリッドをリードするメルセデスAMGに直線で負けたくない、それがレッドブルの強い願いだ。しかし、メルセデスやフェラーリら選手権のライバルたちにV6エンジンを供給してもらう訳にはいかない。
それでもマテシッツは、「レッドブル」内製エンジンの報道を次のように退ける。
「われわれは自動車メーカーではない」と、マテシッツ。「エンジン製造には長けていないんだ」
「レッドブル製エンジン」のうわさは、ルノーに向けた強い警告音のようなものか。
「レッドブルの基準は高い」と話すのは、ルノーF1エンジンの責任者ロブ・ホワイトだ。「ヘルムート・マルコや他のチームメンバーが発するメッセージの意味は理解している」と、彼はウェブサイト『motorline.cc』に語る。
『マルコやほかのみんなに、ルノーの性能に納得してもらいたい。それにはまず、われわれが進歩を遂げることが重要だ。とはいえ、ルノーとレッドブルのあいだに何も問題はない」とするホワイトだった。