今季のF1タイトル獲得候補ナンバー1に推す声も多いメルセデスAMGのルイス・ハミルトンだが、F1オーストリアGP(22日決勝)の予選で思わぬスピンを喫し、決勝は9番手からのスタートという思いもせぬ展開となった。
■【結果】ウィリアムズ1-2!F1オーストリアGP予選のタイム、ギャップ
前戦カナダGPではトラブルによるリタイアとなったハミルトンは、ポイントランキングの首位を走るチームメートのニコ・ロズベルグとのポイント差を22ポイントにまで広げられている。
今週末のオーストリアGPに向け、2008年のF1チャンピオンであるハミルトンは、「またああいう(カナダのような)状況になれば、その差はさらに大きくなり始めるだろう」と語り、今後これ以上トラブルに見舞われる余裕はないとしていた。
だが、美しい山々に囲まれたレッドブルリンクで行われた予選において、ハミルトンのタイトル争いの行く手にはさらに険しい山がそびえることとなってしまった。
■ますます優位に立つロズベルグ
ハミルトンは予選Q3の最初のアタックでは所定のコースをはみ出すミスを犯し、そのときに出したタイムを抹消されている。さらに、最後のアタックではターン2でブレーキをロックさせてスピンし、なんとタイムを残すことすらできずにQ3セッションを終えることとなった。
結局、オーストリアGP予選ではフェリペ・マッサがポールポジションを獲得し、同僚のバルテリ・ボッタスとならんでウィリアムズ勢がフロントローを独占するという驚きの結果となった。
ランキングトップのロズベルグは3番手となったものの、チームメートとのタイトル争いにおいては、これでさらに精神的に優位に立ったのは間違いない。
モナコGP(第6戦)では、予選走行中にロズベルグが故意にミスをして黄旗を誘発したとして怒りを爆発させたハミルトンだったが、オーストリアではそれとは全く逆の状況となっていた。
「完ぺきなラップを行うことができなかった。ルイスがスピンしたことでね」とロズベルグ。
「僕はアクセルを緩めるしかなかったんだ。僕の予選がその犠牲となったのは間違いないよ」
だが、モナコでのケースとは違い、ハミルトン自身はそのスピンによって何の得もしていない。
■ハミルトンのスピンの原因は?
ハミルトンが予選において突然ブレーキをロックさせてスピンした状況に関して、何らかの技術的問題が発生していたのではないかと考える者もいるものの、メルセデスAMG陣営にはハミルトンが単にミスを犯しただけではないかという空気が漂っている
予選後、ハミルトンは『Sky(スカイ)』に対し、次のように語った。
「何が起こったのかを確認するためにデータに目を通さないとね」
「問題はないよ。明日のレースは長いしね。僕たちには最高のエンジンもあるし、うまくすれば順位を上げていくこともできるよ」
メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、今回のハミルトンのスピンはドライバーのミスの可能性もあると考えているようだ。ヴォルフはオーストリアの放送局『ORF』に次のように語った。
「今ちょうどデータを調べているところだが、彼がシフトダウンした瞬間にリアのブレーキがロックしたようだ」
「それがドライバーのミスだったのか、技術的な問題だったのか、まだはっきりとは分からない」とヴォルフは結んでいる。