ドライバーのチーム移籍のうわさが飛び交う時期のことを「シリー・シーズン」と呼ぶが、やっと中盤戦に入ったばかりの今シーズンが本格的なシリー・シーズンを迎えるのはもう少し先のことになりそうだ。
とは言え、すでにその将来についてのうわさがささやかれているドライバーもいる。例えば、キミ・ライコネン(フェラーリ)やルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がそうだ。この2人は、F1オーストリアGP(22日決勝)が開催されているレッドブルリンクにおいてそうしたうわさを否定するために時間を費やすはめになった。
■ライコネンとハミルトンには眉唾(まゆつば)なうわさ
ライコネンに関しては、前戦カナダGP(第7戦)が行われたモントリオールにおいて、今季5年ぶりにフェラーリに復帰したものの、開幕戦以来不調が続いているため、フェラーリがその契約を打ち切るかもしれないといううわさがささやかれた。
ライコネンは、19日(木)に母国フィンランドのテレビ局『MTV3』に次のように語った。
「メディアは書きたいように書くものさ。でも彼らは、実際にはどういう状況なのかということを知ろうともしないんだ」
一方、ハミルトンのほうはカナダGP以後、マラネロにあるフェラーリ本部を訪れていたとのうわさが流れていた。
だが、ハミルトンはイギリスの『Bild(ビルト)』紙に対し、「ウソだよ。僕はその週はカナダで過ごしていたよ」と語り、それを否定している。
■ヒュルケンベルグとスーティルの動向は?
そのほかにも、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』は、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)のマネジャーがマクラーレンとの接触を図ったと伝えている。ヒュルケンベルグ側では、マクラーレンが2015年のドライバーを探しているのではないかと考えていたようだ。
だが、記者のラルフ・バッハとビアンカ・ガーロフは、それは期待できないだろうと書いている。
一方、そのヒュルケンベルグと交代する形で、フォース・インディアからザウバーへと移籍したエイドリアン・スーティルだが、今季はフォース・インディアのほうがザウバーをはるかにしのぐ成績をあげている。だが、スーティルはその移籍を後悔してはいないと主張している。
F1公式サイトのインタビューで、現在苦戦が続いているザウバーに来季もとどまるつもりかと尋ねられたスーティルは、「ああ、もちろんだよ。僕にはチームとの契約があるからね」と答えている。
■悲喜こもごものドライバー移籍
また、昨年まで不振にあえいでいたウィリアムズでは、巨額のスポンサーマネーを持つパストール・マルドナードがチームに見切りをつけてロータスへと移籍。ウィリアムズでは、代わりにフェラーリとの契約を失ったフェリペ・マッサを迎え入れていた。
だが、今季メルセデスエンジンを手にいれたウィリアムズには復活の兆しが見えている。21日(土)に行われたオーストリアGP予選では、そのマッサが見事な走りでポールポジションを獲得。今季初めてメルセデスAMG勢によるポール獲得を阻止している。
少し前、フェラーリが解雇してくれたことを喜んでいるとまで発言していたマッサだが、一方のマルドナードは、非力なルノーエンジンで不振にあえぐロータスのクルマをあやつるも、現時点ではドライバーランキングの最下位に位置付けられている。
■チャンス到来を喜ぶボッタス
このウィリアムズと2010年にテストドライバー契約を結び、2013年シーズンにレギュラードライバーとしてF1デビューを飾ったボッタスも今年これまでの展開には満足しているようだ。
「ウィリアムズにいられてうれしいよ」とボッタス。
「彼らは僕にF1に来るチャンスを与えてくれたし、ほかのチームに目を向ける理由なんて何もないよ。とりわけ、今シーズンはいい方向に向かっていると思うしね」
そう話したボッタスは、次のように付け加えた。
「僕にはシリー・シーズンなんて関係ないね!」