伝説的元F1ドライバーであるミハエル・シューマッハの現在の容体に関する新たな情報が報じられている。
16日(月)に、シューマッハがすでにこん睡状態ではなくなり、事故以来入院していたグルノーブルの病院から、スイスの自宅近くの病院へ転院し、リハビリ段階に入るとの公式声明が出されていた。
■救急車で移送されていたシューマッハ
スイスの『Blick(ブリック)』が18日(水)に報じたところによれば、シューマッハは16日(月)にフランスからスイスまでの200kmを救急車で移送されたという。
この移送については、シューマッハを受け入れたローザンヌ大学病院の神経外科部長であるリシャート・フラコビアク医師が「非常にうまくいった」ことを認めたと『Blick(ブリック)』は伝えている。
伝えられるところによれば、シューマッハのプライバシー保護のため、その救急車の予約は偽名を使って行われており、さらに救急車に同乗するスタッフは出発前に携帯電話を預けさせられていたという。
■救急車内ではスタッフとの意思疎通も
それでも、シューマッハの現在の状態について新たな情報も明らかになってきている。『Blick(ブリック)』紙は、シューマッハの体重がかなり減っているのは事実だとしながらも、シューマッハは移送中の救急車の中ではかなりの時間意識を取り戻しており、同乗していたスタッフに対してうなずくなど、意思疎通を図ることができていたとしている。
こうした情報を受け、バルセロナ大学病院の神経学部長であるロベルト・ベルビ医師は、シューマッハの回復状況に関する最新の情報は明るいものだと歓迎している。
「こん睡からの覚醒(かくせい)というのは、周囲の環境との接触が確立されるということを意味する」
スペインの『AS』紙にそう語ったベルビ医師は次のように続けた。
「例えば、目を開けなさいとか、目を閉じなさいというような簡単な指示に患者が反応できるようになるということだ」
「もし患者がそれに反応できるとすれば、脳と環境との間に明確なコミュニケーションが存在することになる。こん睡状態からの脱出は、非常によい経過を示していると言える」
■急速な回復の可能性も
ベルビ医師はさらに次のように続けた。
「シューマッハは、彼が本当にこん睡から目覚めたのか、あるいは植物状態なのか、という最初の質問に対する答えを出している。あとはその回復状況を見守るだけだし、全快することを期待するだけだ」
「言語能力や運動能力に関しては、以前と同じようになるのは難しいものだ。それは彼が受けた外傷の程度によって違ってくる」
ベルビ医師は、次のように締めくくっている。
「だが、患者がこん睡から覚めれば、通常はその後急速に進展するものだ。最初の3か月はシューマッハの回復のペースや、今後どの損傷が残ることになるかを見極めることになるだろう」