F1世界選手権ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)がついにハッパをかけられた。それもチームの技術責任者エイドリアン・ニューイからだ。
ベッテルにばかり信頼性のトラブルが出る不運こそあるが、新加入のダニエル・リカルドに真っ向から勝負を挑まれているのも、また事実。
果たしてベッテルに驚きは?F1第7戦カナダGPの舞台モントリオールで質問されたベッテルは、こう答える。「実はノーだよ」
「ダニエルがすぐチームに溶け込めてよかった。セッティングに関しても、マシンの好みが僕と似ているんだ」と『Speedweek(スピードウィーク)』に語るベッテル。
「彼はほんとうに良くやっているよ」
「最初の数戦、僕の方はいたるところにトラブルが出たが、彼がマシンの実力を引き出してくれてホッとしている」
リカルドの運転スタイルやテレメトリーの数値をチェックしているかどうかきかれると、ベッテルは笑って次のように答える。「ああ、毎度ね」
「彼の走りがきわだつ区間があきらかに存在するんだ。そこは僕らのクルマと比較できて嬉しい。あいにく僕にとって今季ここまで、順調といえないだけにね」
「マーク(ウェバー)の場合、高速コーナーのよさが常に光っていた。時に彼の走りで自分の限界を把握したものさ。ところがダニエルと僕の場合、ほんとうにいい勝負なんだ」と、ベッテル。
根っからのベッテル信者であるレッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士は、今シーズンもベッテルならではのドライビングを見せていると、次のように話す。
「彼に悪いところはひとつもない」と、『Die Welt(ディー・ヴェルト)』に語るマルコ。
「とにかくツキがない。強い男だが、彼を取り巻く状況は厳しいね」
「運転技術については何ら問題ない」
レッドブルで成功の原動力となっているもうひとりの男、それは技術責任者のエイドリアン・ニューイだ。ニューイがいうには、新規則のもと一変したF1でベッテルが挽回するには「これ以上、時間を失うわけにはいかない」。
「セバスチャンは一刻も早くこのクルマの運転法を学ぶべきだ」と、イタリア『Tuttosport(トゥットスポルト)』にコメントするニューイ。「もはや時間は無駄にできない」
「彼の運転スタイルに合わせてクルマを作るためだったら何でもする」と、ニューイ。「だが、それを速く走らせるのは彼次第だよ」