今週末のF1スペインGPで口々にうわさされているのが、フェラーリの動向だ。
うわさその一は、ロス・ブラウン。1990年代から2000年代にかけ、ミハエル・シューマッハとコンビを組んでフェラーリ黄金時代を築いた立役者である。ブラウンは引退状態にあるが、最近、伊マラネロのフェラーリ本社を訪れている。復帰の可能性はあるのだろうか。
9日(金)、このことを質問されたフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼモーロは、NOといわんばかりに首を振った。前チーム代表のステファノ・ドメニカリが辞職して以降、モンテゼモーロはチームへの関与を深めている。
「(現代表のマルコ)マティアッチは着任したばかりだが、これからしっかりやってくれるに違いない」と、F1経験の浅いマティアッチについて語るモンテゼモーロ。
「かといって、F1の仕事は一人だけでは回らない」
ドメニカリに替えてマティアッチを起用したのは「他に選択肢がなかった」から。そんなニュアンスがモンテゼモーロの次の発言から受け取れる。
「正直いうと、時間が無くて他に誰も思い浮かばなかった。代表の座を空けておくのはよくないと思ってね」と、バルセロナで語るモンテゼモーロ。これではブラウンのうわさをするなという方が無理だ。
カタルーニャ・サーキットで話題に上っているのはブラウンだけではない。
フランス『L'Equipe(レキップ)』紙は、フェルナンド・アロンソがフェラーリと2016年まで結んでいる契約の抜け道を模索中と報じている。メルセデスAMGに移籍、ルイス・ハミルトンのチームメートになる目論見らしい。
話の出どころは「スペインの情報筋」だというが、メルセデスAMGのトト・ヴォルフが最近、アロンソのことを今季タイトル候補に推したり、「レースの鬼」などと持ち上げたりして、うわさの火に油を注いでいるといえなくもない。
メルセデスAMGとアロンソとの関係について聞かれた共同会長のニキ・ラウダはすぐさま、「冗談じゃない!」と一喝する。
「我々のドライバーであるニコ(ロズベルグ)とルイスは、二人ともチームと長期契約を結んでいる。これからも彼らとやって行くつもりだ。いずれのドライバーも交代させる理由が見つからない」と、ラウダはドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌に話している。
もっとも、現在アロンソがイラ立ちを感じているのはモンテゼモーロも認めるところだ。
「再び競争力のあるマシンを与えれば、彼も上機嫌になるだろうが」
スペイン『El Mundo(エル・ムンド)』紙は、「私にとって目下の問題は二人のドライバーじゃない。いかにチームの競争力を取り戻すかだ」といったモンテゼモーロの発言を報じている。
そこで登場するのが第三のうわさだ。F1でもっとも高給取りで評価もピカ一のエンジニア、エイドリアン・ニューイ(レッドブル)とフェラーリの関係が取りざたされているのである。
『La Repubblica(レプブリカ)』を含むイタリア各紙ではたびたび取り上げられる話だが、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』の名記者ミハエル・シュミットまでが次のようにレポートしている。
「オファーはニューイのところに届いたと見られる」「しかも、これが最初のオファーではなかろう」