カナダGPのプロモーター、フランソワ・デュモンティエにとって新F1ノイズの大小は問題ではない。
今季開幕戦オーストラリアGPのCEOロン・ウォーカーは、以前の野性的なエンジン音が失われたといって怒りを露わにした。このような音質は契約違反で、きっと他のプロモーター達も契約書を精査するに違いないとまで言い張る。
その点、カナダ東部の町モントリオールで大人気のレースを運営するデュモンティエはお構いなしだ。
彼は現在、2014年で契約が終了するカナダGPの延長に向けて交渉の真っ最中だ。デュモンティエはエンジン音について、純粋に「主観の問題」と考えている。
「エンジン音をどう捉えるかは、その人の主観によると思う」と、カナダ『La Presse(ラ・プレス)』紙に語るデュモンティエ。
「私の関心は、むしろV6移行に伴う技術開発に向いている」
「モントリオールの市街地コースについてメルセデスAMGの走りをシミュレートしたところ、カジノ・ストレートで以前より時速18kmも速くなることが分かった」
「マシンのノイズは減るが、性能を気にする人だって多い。むしろ、よりパワフルな走りが見られるんだ」
それに、モントリオールにはきっと新しいエンジン音を気に入る観衆もいるとデュモンティエは言う。
「V8自然吸気エンジン時代は、コース上にマシンがいると隣との会話など成り立たなかった」
「私は良い面を見るようにしている。サン・ランベールの住民からの文句も減るだろう」とジョークを飛ばすデュモンティエ。サン・ランベールは、セントローレンス川をはさんでモントリオールの対岸に位置する町だ。
それでもエンジンメーカーは新世代V6ターボエンジンの音量を一刻も早く上げようと躍起だ。見た目の違いは、エグゾースト部分の形状のみになると言う。
ところが既に、メルセデス、フェラーリ、ルノーの3メーカー間で明らかに音量が異なっている。ルノーのロブ・ホワイトによると、理由はエグゾースト長の違いだ。
「メルセデスのエグゾーストが最も短く、我々がいちばん長い。フェラーリはその中間だ」と、ホワイトはドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に語っている。