昨年までアメリカのインディカー・シリーズに参戦していたスイス人女性ドライバーのシモーナ・デ・シルベストロが、初めてザウバーの2012年型F1カーを使ってテストを行った。今回のF1カーでのテストは、裕福な実業家による支援で実現したものだ。
先週末、スイスに拠点を置くザウバーは、同チームにエンジンを供給するフェラーリの私設テストコースであるフィオラノへと向かった。そこでデ・シルベストロに初めてのF1カーを体験させるためだ。
デ・シルベストロはザウバーの2012年型車であるC31で、2日間にかけて180周のテスト走行を行った。だが、25歳のデ・シルベストロが身に付けていたレーシングスーツは、ザウバーのグレーカラーのスーツとは違うものだった。
実際、ザウバーがフィオラノでテストを行うのは、2005年に当時在籍していたジャック・ビルヌーブが行って以来のことだった。
スイスの『Blick(ブリック)』紙が報じたところによれば、今回のデ・シルベストロのF1テストプログラムの実施費用を負担したのはイムラン・サフィウラという人物だという。
さらに、デ・シルベストロは今年10日以上のテストを担当することになっており、次回はスペインのバルセロナで実施されることになっていることも明らかとなっている。
インド出身のサフィウラという人物は裕福な実業家で、2006年からデ・シルベストロの支援を続けてきている。2010年にHVMレーシングからインディカー・シリーズへのデビューを飾ったデ・シルベストロだが、2013年にはサフィウラが実質的にKVレーシングを買収する形で同チームへ移籍。このときサフィウラはKVレーシングの共同オーナーに名を連ねていた。
サフィウラは『Blick(ブリック)』に次のように語っている。
「決して安い金額ではないよ。だが、将来に向けて何かを築き上げることができる」
今回フィオラノで行われたテストで使用されたザウバーの2012年型車には白、青、そして緑を使った特別なカラーリングが施されていた。
実際、そのC31はV8自然吸気エンジンが搭載されたもので、KERS(運動エネルギー回生システム)も装着されていなかった。だが、その車体には「クリーン・エア・エネルギー」と「ハイブリッド」という文字が記されていた。これはこれまでデ・シルベストロに対する支援を続けてきたスポンサー、「ニュークリア・クリーン・エア・エネルギー」のものだ。