現在、ミュンヘンで汚職容疑にかかわる刑事裁判が始まったF1最高責任者バーニー・エクレストンだが、裁判の進展について新しい事実が明るみに出てきているようだ。
F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトが、『Telegraph(テレグラフ)』に、現在ミュンヘンで行われているエクレストンの裁判において、エクレストンが元妻であるスラビカと離婚して以来、スラビカがエクレストンに対し毎年1億ドル(約100億円)という途方もない金額を払い続けていることが明らかになったと書いている。
起訴状によれば、「離婚命令以降の支払期限がどうなっているかは不明」だという。
83歳のエクレストンにいったいどれだけの収入があるのかということはさておき、そのニュースは、エクレストンがイギリスの税務当局と「秘密」の取引をしたとの報道と結び付く可能性がある。
エクレストンはこれまで、自分が元銀行家であるゲルハルト・グリブコウスキーに4,400万ドル(約45億円)を支払ったのは、F1の株式売買に関してではなく、グリブコウスキーがエクレストンの税金問題についてイギリスの税務当局に対し事実を明らかにすると脅迫を受けたことによるものだと主張している。これは、裏を返せば、エクレストンにはイギリスの税法上、何らかの違法行為をしていたとの推測を呼ぶものだ。
しかし、『BBC』の時事問題を扱う番組である『Panorama(パノラマ)』は、イギリスの歳入税関庁である「HMレベニュー&カスタムズ」が、エクレストンが1,700万ドル(約17億4,000万円)の和解金を支払ったことにより、これまで長期にわたって続けられていたエクレストンの税金問題に関する調査を打ち切ったと報じている。
だが、エクレストンはこの件に関し、『Times(タイムズ)』に次のように語った。
「ハゲワシが頭上を飛び回っているみたいだよ。だが、彼らにとっては困ったことに、ハゲワシは普通死体にむらがるものだが、私はピンピンしているからね」
さらにエクレストンは、自らのイギリスにおける税問題に関してもやましいことは何もないと次のように主張した。
「私は、どこでも自分の好きなところから仕事を行うこともできた。モナコやスイスにいくこともできただろうし、それでも十分にうまくF1を運営してこられたはずだ。やましいことなどない」