今年、施行されたF1新規則にチャンピオンチームのレッドブルが厳しい目を向けているのを受け、ジャン・トッドFIA会長は同チームの主張について「考える」姿勢を見せているという。
これは同チームのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士が語ったものだ。マルコは、数ある懸念材料の中でも第2戦マレーシアGPのピットストップ中に起きたアクシデントでダニエル・リカルドが厳しいペナルティを受けたことが、特に納得いかないといった表情だ。
「ダニエル(リカルド)には何の罪もない。あれは気の毒だよ」とマルコはオーストリア『Servus TV(セアヴスTV)』に語った。
前輪が外れかけた状態でピットアウトしたリカルドはレース中にペナルティを課せられた上、次の第3戦バーレーンGPで予選10グリッド降格の処分を受けている。
マルコは言う。「F1にはコンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権がある。チームのポイントを減点すれば良いだろう。罰金という手もある」
「私が見たところ、あれは別に危険なマシンのリリースじゃない。発車するやダニエルから”車輪がグラグラしている”と無線連絡が来たからクルマを押し戻したまでだ。何の危険もない」
マルコにとっては、不格好な新ノーズ形状も気になるところ。安全上の理由といってFIAが冬のあいだに変更したものだ。
ところが開幕戦オーストラリアGP決勝のオープニングラップで、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)と小林可夢偉(ケータハム)が絡んでの追突事故が発生。後車のフロントノーズが前車のリア部分に「潜り込んだ」ことから、新ノーズはかえって危険であることが明らかとなった。
さらにマルコは、バーレーンGPでエステバン・グティエレス(ザウバー)がパストール・マルドナード(ロータス)に当てられて横転した事故も新しいノーズが原因だと指摘する。
「低いノーズが他車の下に潜ったら、当てられたクルマが浮き上がって横転するのは自明の理だ」と話すマルコ。
「残念ながら、車体に関する規則はシーズン中に変えられない。だが、来季に向けて素早い反応を見せる必要があるはずだ」
「この機会にノーズの見ためも、どうにかしたいところだ」と、マルコ。
そこで彼は、バーレーンGPでトッドをつかまえて懸念を伝えたという。
「彼はいくつかの問題で自身の見解を述べ、規則変更を要請に沿って実施できるか検討すると約束してくれた」とのことだ。
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