F1最高権威のバーニー・エクレストンがF1エンジンメーカー3社に向かって、かつての大音量を取り戻すよう主張している。
「エンジン音をおとなしくしてしまったのが彼らなら、またうるさくできるのも彼らだ」とエクレストンは語った。
去年までは耳をつんざく大迫力だったF1マシンも今年は野太い低音しか発さず、開幕戦F1オーストラリアGPの主催者は「こんなの望んでいない」と怒りをあらわにした。このままではレース主催者、スポンサー、おまけにF1ファンまでそっぽを向きかねないとあって、エクレストンは問題解決に躍起だ。
さっそくエクレストンは、V6ターボエンジンを製造するメルセデス、フェラーリ、ルノーの3メーカーに責任をなすりつけている。
「あれは技術的な問題だ」と、ドイツ『Bild(ビルト)』に語るエクレストン。「彼らにはF1を迫力あるものにする義務がある」
エクレストンによると、ヤワなF1を心配しているのはオーストラリアだけではないという。
「ほかのプロモーターたちも、気にしているんだ。入場券がちゃんと売れるかどうか疑問を抱いている」
オーストラリアGPの主催者は、あんなに静かなエンジンにするとは契約違反だとまで言っているようだが、あるプロモーターは、そんな主張は通らないとしている。
「エンジンの最小音量といった条項は契約にない」と語るのは、ドイツ自動車クラブ『ADAC』のKlaus Klotznerだ。「その逆に、最大音量なら決まっているがね」
エクレストンは、F1オーストラリアGPを終えて、こう語っている。
「F1は華やかさに尽きる。人々はエンジン音が鳴り響くまでのグラマラスな雰囲気にひかれるんだ。だからこそ、その後のノイズが重要なんだよ」
しかしあるF1関係者によると、今のチームはレース会場のエンジン音に構っているほど暇ではないという。それより新エンジンをいかに理解し信頼性を高めるかが、チームにとって重要なのだ。
「今の我々にエンジンノイズの心配をしている余裕などない」と、その関係者はイギリス『Times(タイムズ)』紙に語った。