6日(日)のF1第14戦韓国GP決勝で消防車両がコース内に出動。しかし、レース主催者はペナルティーを免れた。
レース中、いきなり隊列の前に四輪駆動車が現れたのだから、リードしていたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)も驚いたに違いない。それでなくても、南部ヨンアムで2010年から開かれている韓国GPは、暗雲が立ち込めているのだ。
「あれはヒュンダイかキアのSUVだったと思う」と話すのは、ベッテルだ。「ナンバープレートが何だったか知りたいかい? ベルント・マイランダー(セーフティカードライバー)のものではなかった。だから、あれはセーフティカーではなかったよね」
確かに主催者はミスを犯したが、当初考えられたほど深刻な事態に発展しなかった。
というのも、最初に出動の指令を出したのはほかでもない、FIA(国際自動車連盟)のレースディレクター、チャーリー・ホワイティングだったのだ。四駆車がコース内に現れたときは本人も驚いたらしいが、マーク・ウェバー(レッドブル)車の火災がだんだん手に負えなくなる状況で、火を消し止めようと消防車両の出動を指示したことは認めている。
ホワイティングは、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に、こう話している。「我々は第3コーナーの消防車両が出動するものと思っていた。もともと、そこが火災現場なのだからね」
「コース上に出ることなく消火活動ができたはずだ。ところが何の理由か、彼らは第2コーナーのクルマを送ってよこしたのだ」
「おそらく、よくある誤解が生んだミスだろう」
「テレビ画面で消防車を見たとたん、これはマズいと思ってすぐにセーフティカーを出した」
「あれは、火事じゃなくて消防車両のために出したセーフティカーだ」
重大なミスというより「誤解」が発端で、コースマーシャルも正規の手続きどおり白旗(緊急車両のコースインを知らせる印)を各ドライバーに提示していることから、主催者はFIAのペナルティーを受けない。
フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリも、あの状況ではミスも仕方ないと理解を示す。
「一年に一度のレースだし、単に彼らは経験が足らないだけだ」
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも、ミスを不問に付すといっている。
「むしろ消防車両が出動してくれて助かったと思ったよ」
「いつまで燃えたままにしておくのかと気が気じゃなかった」