レッドブルのモータスポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコは、F1第13戦シンガポールGP表彰式で優勝者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に浴びせられたブーイングは、マーク・ウェバー(レッドブル)ファンからのものが含まれると考えている。
4連覇に向けて破竹の勢いを続けるベッテル。F1ファンのひんしゅくは増すばかりだ。
だが、その解釈はさまざまだ。ベッテル本人は、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の連敗で「感情的」になったフェラーリファンの存在を理由に上げる。
その他、ベッテルの連戦連勝が気に食わない、さらにはベッテルの言語や行動ががまんできないほど不愉快と考える者もいる。
「ブーイングはますます手に負えなくなっているね」と、ドイツ『Bild(ビルト)』紙に語るマルコ。「だが、それも説明が付くよ」
「シンガポールには、ベッテル嫌いのアロンソならびにウェバー・ファンが詰めかけていたんだ」
ウェバーを応援する人たちは、F1第2戦マレーシアGPでベッテルが取った行動を裏切りと受け止めている。「マルチ21」で知られる例の事件だ。
「もう、あの一件についてはコリゴリだよ」と、ウェバーは今週、イギリス『Guardian(ガーディアン)』紙に語った。
「僕らはプライベートな場で何度か話し合った。その行方に不満は募るばかりで、僕らは互いに感情をこじらせてしまったんだ。チームメートでいるのがこんなに大変だとはね」と、ウェバーはふたりの困難な関係について明かした。
しかし、ベッテルの性格に嫌気を指しているのはオーストラリア人と、熱狂的なフェラーリファンであるティフォシに限らないという者もいる。
ベッテルとレッドブルの勝利が続く中、マルコは、シンガポールGP後にベッテルが行った発言について質問された。
ベッテルは次のようにコメントしたのだ。「金曜日に早くからプールで遊んでいる人たちも多い中、僕らはサーキットに残って懸命にがんばっているんだ」
マルコは次のように語った。「素晴らしい発言じゃないか。我々の姿勢を端的に表している。いずれにしろ彼の言ったことは真実だ」
「セブ(ベッテルの愛称)はチームの士気を維持したいんだ。そのために我々も、キミ・ライコネン(ロータス)ではなく、若くハングリーなダニエル・リカルド(トロロッソ)に彼をプッシュさせようと起用したのだ」
またマルコは、別の観点からベッテル論を展開する。
「セバスチャンは、表裏のないフェルナンド・アロンソやルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とは違う」と、マルコ。「彼らは、世界に向けて自分の考えを平気でツイートするタイプの人間だ」
「セバスチャンは、どこにいても自分のプライベートな側面を、まるで聖域のように外界から守ろうとする」