今季限りでフェラーリを去ることになったフェリペ・マッサ。離脱決定後、チームメートであるフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を助けることは、もうしないだろうと明かしていた。しかし、F1第13シンガポールGP期間中、またしても大きな疑問が浮かび上がった。この期におよんでマッサは、わざわざアロンソのタイトル争いをアシストする可能性を示唆したのだ。
一番の望みは他チームでF1続行、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)への転向や、場合によってはレース活動の一時休止もやむなしというマッサだが、ロシアのF1情報サイト『f1news.ru』に、次のようにこぼす。「正直、彼(アロンソ)を助けるには、どうすればいいんだい?」
シンガポールGP予選でアロンソを上回る6番手スタートを決めたのだから、当然の疑問だろう。来季はどうせ、過去にチームメートだったキミ・ライコネン(ロータス)に取って代わられるのだ。
シンガポール入りする前、アロンソのナンバー2として働くよりは自分のためのレースに集中すると、マッサは母国ブラジルのテレビ局に語っている。
予選終了後、もはや自分はアロンソの大した手助けにならないと、マッサは次のようにコメントした。
「セバスチャン(ベッテル:レッドブル)がポールか。フェルナンドは、彼のマシン(レッドブル)に何かトラブルが起きますようにって祈るしかないんじゃない?」
「僕はただレースでベストを尽くすのみだね。残りは7戦、いい終わり方をしたいよ」
「ほんとうの話、フェルナンドが僕の助けを必要としているかどうか分からない」
しかし、自らのためだけにレースをするというマッサの発言は、フェラーリのルカ・ディ・モンテゼモーロ会長の怒りを買った。
チーム代表のステファノ・ドメニカリは21日(土)、スペイン『Marca(マルカ)』紙にこう話す。「仮にフェルナンドを助ける機会がマッサに訪れたとして、いったいどうするんだろうね?」
「その時に分かることだ」と、ドメニカリは何度も繰り返すのだった。
真の問題はマッサにあるのではない。いくらマシン開発をがんばってもレッドブルを追い詰め切れないフェラーリが悪いのである。
ドメニカリは、シンガポールGPを「運命の分かれ道」と位置づける。言い換えると、今後チームは2014年の開発に集中するのだ。
「チームはどれだけ開発に力を注いでいることか。決して悪口なんか言えないよ」と『Speed Week(スピードウィーク)』に語るのは、アロンソだ。
「ただし問題は、レースとレースの間で、他チームだって決してプールで寝そべったりテレビを見ているわけじゃないってことだ」
「7月下旬のF1ハンガリーGPで、僕らの速さは(レッドブル、メルセデスAMG、ロータスに続く)4番目に数えられた。今も順番に変わりはない。悲しいけど、これが現実なんだ」となげくアロンソだった。
結局、アロンソはマッサの助けがなくても、シンガポールGPで2位に入った。しかし、ドライバーズランキングでトップのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が優勝したことで、アロンソとベッテルの差が60ポイントに開いている。