毎年新たな「ゲート」が生まれるF1で、2013年もその例外ではない。最新の「ゲート」は、ピレリの依頼を受けたメルセデスAMGとフェラーリがほかのチームに先駆けてタイヤテストを行った「タイヤゲート」だ。疑惑の渦中にあるメルセデスAMGが完ぺきなレース展開で優勝したF1モナコGPから2週間が経ち、カナダGPのパドックでもこの話題は注目を集めている。
今回のタイヤテストがシーズン中テストを禁止する規約の違反に当たるかどうかを調査するとFIA(国際自動車連盟)が発表したことを受けて、メルセデスAMGは次のような声明を出した。
「スポーツマンシップはメルセデス・ベンツにとって最重要項目であり、われわれはFIAの調査を、自信をもって受ける」
しかし、モナコGPの勝者ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)はカナダGPの開催地モントリオールで矢のような質問を浴び、チームメートのルイス・ハミルトンにも、バルセロナで行われたテストについて強い関心が寄せられている。
たとえば、なぜドライバーたちはいつもの格好で走らず、ヘルメットも通常とは違うもの使ったのだろうか。
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にロズベルグは「その話はしたくない。申し訳ないね」と答えている。
そして、本当はスペインのカタルーニャ・サーキットでタイヤテストを行っていたはずのタイミングでハミルトンがアメリカのフロリダ州オーランドから行ったツイッターにも興味深い。さらに、なぜサーキットの名前が布で隠されていたのだろうか。
チームから出された声明にも矛盾がある。メルセデスAMGのチーム代表ロス・ブラウンはモナコで、バルセロナでテストしたのがなんのタイヤだったか見当もつかないと話していた。
「コードだけが与えられたんだ。なんのタイヤをテストしたのか分からない」とブラウンは語る。
ピレリもこの言葉に同調しており、メルセデスAMGは「目隠しをされていた。つまり、チームはテスト対象の詳細やテストの目的を知らされなかった」としている。
しかし、ロズベルグが正反対の発言をしてしまったのだ。「もちろん、ピレリの意図は分かっていたし、テストの目的もピンポイントで理解していた。何をしているのか、何がピレリにとってベストな結果なのかよく分かっていたよ」
この「テストゲート」は国際法廷に委ねられた。パドックではメルセデスAMGにペナルティーが下るとの見方がほとんどだ。
それでも、モナコでロズベルグに敗れたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が「ロズベルグの勝利を取り消すのは間違いだ」と話すように、チームに制裁が下されると思われる。
ベッテルは「でも実際、一体どうするんだい? 分からないけど、ポイントはく奪とか? 全く見当がつかないよ」とも話している。
ドイツ紙『Bild(ビルト)』は、罰金もしくはレース出場停止の可能性を指摘している。