FIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長は、今週末のF1第4戦バーレーンGP(4月21日決勝)が予定通り開催されることを発表した。バーレーンでは、いまも反政府デモが続いており、レースを中止すべきだとの声が上がっている。これに対し、トッドは書面で次のように回答した。
「対立や社会不安、緊張により苦境に立たされているときこそ、スポーツ、そしてこのグランプリが希望といやしを与えてくれると私たちは強く信じている」
また、F1の最高権威バーニー・エクレストンもイギリス『Daily Mail(デイリー・メール)』紙に「F1カレンダーを変更するには、遅すぎる」と述べた。
エクレストンはバーレーンGPへ姿を見せる予定だが、トッドは欠席を発表しており、批判の声が上がっている。これを受け、あるFIA関係者は『Speed Week(スピード・ウィーク)』に、「会長がおかんむりである」と述べた。
「会長が欠席するのは、バーレーンの状況を恐れているからと言われています。しかし、息子ニコラや、会長が愛し尊敬するたくさんの人たちもバーレーンにいる、と会長は言っています」
現に、報道の中には、バーレーンの実情を正確に反映していないものもあるとの懸念も聞かれる。イタリア紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』のジャーナリスト 、アンドレア・クレモネシは、「バーレーンの状況は落ち着いている」と話す。さらに、「暴力行為や抗議活動の様子が毎日のように世界中のニュースで取り上げられているが、実際にバーレーンで目にすることとは正反対だ」とも述べた。
ドイツ語版『Speed Week(スピード・ウィーク)』のマティアス・ブルナー記者もこの意見に賛成する。
「バーレーンはいま、過渡期にある。多くの人々が現状に不満を抱いている」
「しかし、F1が内乱の地へやって来たというのは、真実ではない」
また、『Speed Week(スピード・ウィーク)』は、「主にイギリスからの」記者たちがある種の思惑を持っていると指摘する。
しかし、イギリスの『Daily Mail(デイリー・メール)』の記者、ジョナサン・マクエボイでさえ、「バーレーンの人たちはフレンドリーで、通りも静かだ。目にする唯一のカクテルは、火炎瓶ではない。氷とレモンが添えられ、クリスタルのグラスで出てくる」と報じた。