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ベッテルのチームオーダー無視は「ミス」だった?

2013年03月29日(金)10:32 am

F1第2戦マレーシアGPで、チームからの指示を無視してチームメートのマーク・ウェバー(レッドブル)を抜いて優勝したセバスチャン・ベッテルは、意図的に無視したわけではないと主張しているが、その言葉もあながちウソではないのかもしれない。

ベッテルは、レースを1位でフィニッシュした直後は晴れやかな表情で喜んでいたが、その表情が突然曇ったのは、表彰台に向かう前の控え室で、ウェバーが怒りを見せながら「マルチ21」という言葉を2度口にしたときだった。この言葉は、エンジンの回転数を落として順位を維持するよう指示する暗号だったとみられている。

「彼(ウェバー)と話したときに、すぐその話が出た。その時だよ。雷に打たれたように一瞬で分かったんだ」とベッテルはF1公式サイトで語っている。

ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』は、「マルチ21」という暗号をベッテルが本当に見落としたか、あるいは勘違いしたり、その重大さを過小評価したりしていた可能性もあると伝えている。この暗号は、ステアリングのディスプレイに表示されることでドライバーに伝えられていたかもしれないというのだ。

レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、オーストリアのテレビ局『Servus TV(セアヴスTV)』に出演し、こう話した。「例の“21”という暗号を使っている。これは、レースエンジニアから2度伝えられていた。返事はなかった」

一方、マレーシアGPでのチームオーダーをめぐるスキャンダルは、今も話題をさらっている。

まず、F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、自分がベッテルのように3回ワールドチャンピオンを獲得していたら、やはり指示を無視していただろうと話している。

「たぶん、キミ・ライコネンとまったく同じようにやったね。復帰してきて、指示を与えられたときにやったようにだ。“自分のしていることは分かっている”と言うだろうね」とエクレストンはベッテルを擁護した。

ベッテルが入門期のカテゴリーであるフォーミュラBMWでF1を目指していたころに所属したチームの代表であるペーター・ミュッケも同様だ。「ワールドチャンピオン獲得をねらうドライバーは、妥協しない強さがなければならない」

「レーサーというのは利己的だ。たとえチームスポーツのなかでも、そうあり続けるんだ」とミュッケは『Der Tagesspiegel(ターゲスシュピーゲル)』紙に語っている。

この一件は、思わぬところで論争を生み出した。元ルノーF1チームのマネジングディレクターで、ウェバーのマネジメントもしているフラビオ・ブリアトーレが、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーについて、チームを制御できておらず、「弱い」と非難したのだ。

ブリアトーレはルノー時代、フェルナンド・アロンソの順位をばん回させるために、チームメートのネルソン・ピケJr.にわざとクラッシュすることを命じ、セーフティカーを導入したとして、F1からの永久追放処分を受けたことがある。

イタリア放送協会『RAI』のラジオ番組で、ブリアトーレはこう語った。「クリスチャンは、表彰台に行くだけの強さすらなかった。彼らは、チーム代表の代わりにドライバーが主導権を握るのを恐れているからだ」

これに対し、レッドブルは声明で反論している。「“弱い”チーム代表なら、チームをコンストラクターズチャンピオン3回獲得に導くことも、その成績につながる広範囲におよぶチームワークを監督し、まとめることもできないだろう。しかも、2人の才能あるレーサーを操りながらだ」

しかし、時を同じくしてブリアトーレは、物議を醸した発言を取り下げている。自分のコメントが「間違って解釈されて」おり、ホーナーのことは「非常に敬意を持っている」というのだ。

「チーム代表として、クリスチャンは素晴らしい仕事をしてきた。レッドブルだけにとどまらず、F1全般においてだ。そして間違いなく、今もそうだ」とブリアトーレは述べている。

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