15日(金)に、メルボルンのアルバート・パークで今季の開幕戦F1オーストラリアGPの金曜フリー走行が行われたが、午前と午後の合計3時間に及んだセッションで、これまで霧に包まれていた各チームの力関係がついに明らかになり始めた。
まず、ロータスはメルセデスAMGやフェラーリと同様にかなり競争力がありそうだ。しかし、ロータスのロメ・グロジャンは「最前列にはレッドブルの2台が並ぶだろう」と語っている。
昨シーズン限りで慣れ親しんだマクラーレンを離れ、今季からメルセデスAMGに移籍したルイス・ハミルトンもこれに同意し、次のように話した。
「彼ら(レッドブル)は案の定、冬の間ずっと(実力を)ごまかしていたんだ」
「でも、僕たちだってそれほど離されているとは感じていないよ」
メルセデスAMGがシーズン前テストで見せた好調ぶりを持続させているのに対し、マクラーレンのほうは明らかにオーストラリアでは苦戦を強いられている。ハミルトンが移籍を決めたのは、あたかもこうしたことを予見していたかのようだ。
2008年にマクラーレンでF1チャンピオンとなったハミルトンは、「マクラーレンに何が起こったのかは分からないけれど、彼らはたて直してくるよ。素晴らしいチームだからね」とコメントしながらも、次のように付け加えた。
「レッドブルの2台は明らかにとても速いし、フェラーリ勢もかなり競争力がある。それにロータスもね」
だが、28歳となるハミルトンは、自身が乗る銀色のカラーリングが施されたW04(メルセデスの2013年型車)についても笑顔を浮かべながら、「信じられないよ。コースに出ると、ものすごくワクワクするんだ」と自信をのぞかせた。
15日(金)の2回のセッションでトップタイムをマークしてみせたことで、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがポールポジション獲得や優勝にもっとも近い位置にいるように見える。だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは冷静さを失ったりはしていないようだ。マルコは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「ウェバーやライコネン、それにメルセデスAMG勢やフェラーリ勢との間で厳しいレースが展開されると思っている」
そのマルコのコメントにも名前が出てこなかったマクラーレンだが、チーム代表のマーティン・ウィットマーシュは疲れ切った表情を見せながら、「覚えている限り、これまででもっとも厳しい1日だったよ」というコメントを残している。
予選は雨模様になるという予報が出ている。オーストラリアでドライタイヤを使うチャンスがなくなるかもしれないという状況にもかかわらず、ピレリの責任者であるポール・ヘンベリーは15日(金)の夜に安堵の表情を浮かべているようにも見えた。
ヘンベリーは、ピレリがオーストラリアGPのために用意したスーパーソフトタイヤについて、「かなり予選向きのタイヤ」だと説明していたものの、17日(日)の決勝では、各チームの戦略担当者は2回か3回ピットストップ作戦をとるだろうと考えているようだ。ヘンベリーは「われわれの見解としては、そうなるだろう」と答えている。