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トヨタ「夢はTS030ハイブリッドがル・マン24時間をトップでゴールすること」

2013年02月19日(火)19:20 pm

トヨタは19日(火)、WEC(世界耐久選手権)へ参戦するTS030ハイブリッドの2013年仕様を発表。チーム首脳陣が新シーズンに向けた意気込みを語った。

木下美明 チーム代表:

「新しいシーズンを迎えるにあたり、本当にワクワクしている。幸いな事に、われわれは昨年、予想以上の成果を上げる事ができたと思う。しかし、今年は、さらにその先に進まなければならず、チーム全員、モチベーションを保って頑張ってきた。現在は、2013年型のTS030ハイブリッドの初期テストに集中しているが、シーズンが始まる前なので、皆、やや緊張している」

「昨年、われわれはライバルととても厳しい戦いを展開し、われわれの目標を達成するためには、非常に高いレベルで戦い抜く必要があることを再認識した。新しいTS030ハイブリッドは大きな進歩を遂げていると思うが、ル・マン24時間レースのチェッカーフラッグを受けるまで、その真価は分からない。自分の夢は、このTS030ハイブリッドが24時間後に、トップでゴールラインを切ることだ」

パスカル・バセロン テクニカルディレクター:
「大きなレギュレーション変更が2014年に実施されるため、今年のTS030ハイブリッドは、昨年のTS030の正常進化型とした。まずターゲットとしたのは昨シーズンで発見された、すべての細かい問題を対策することだった。2012年のTS030ハイブリッドは、そもそも試験研究用に開発した4輪駆動のテスト車両だったので、レース用に実際に使用したリアだけではなく、フロントにもハイブリッド・システムを組み込むことが可能となっていた」

「2013年型ではフロント側へのハイブリッド・システム搭載を考えない状態でさらに最適化し、モノコックを再設計した。昨年のレースパフォーマンスから、大きな要素に関しては問題ないと感じているので、主要コンセプトの変更はなく、細かい見直しと最適化を行った」

「また、ドライバーについては、昨年は、アレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエール、中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、ステファン・サラザン、そしてセバスチャン・ブエミととてもエンジョイすることができ、彼らのパフォーマンスも、われわれの期待以上だった。従って、同じドライバーラインアップを選択するのに躊躇(ちゅうちょ)は無かった」

「印象的なスピードと素晴らしいチームスピリットで、全員が初年度のチーム構築と車両開発に貢献してくれた。テストプログラムが限られていたにもかかわらず、彼らの経験と努力こそが、われわれにとってWEC最初のシーズンで勝利を挙げられた大きな要因となった。2013年シーズンへ向け、これ以上のドライバーラインアップはないと思っている」

ロブ・ロイペン ビジネス・オペレーション・ディレクター:
「昨年プロジェクトをスタートしたとき、TMGとトヨタのモータースポーツ部、そしてオレカ・チームという異なった文化と異なった経験を持つメンバーからスタッフを集めたが、チームは非常に早くまとまり、問題解決やパフォーマンスレベルの向上を果たした。メンバー全員とパートナーとの一致団結で、耐久レースの世界で大きな成長の一歩を遂げた。まだやるべきことも学ぶべきこともたくさんあるが、昨シーズンはチームの進化の速さを示せたと思う」

「そして、今年の目標はル・マン24時間レースでの初勝利と、トヨタにとっては1999年のWRC以来となる、FIA選手権タイトル獲得だ。しかし、それとは別に、WECがさらに盛り上がるシリーズになってくれることを望んでいる。昨年はWECが復活して初のシーズンながらも非常に好印象で、特に富士やインテルラゴス(ブラジル)などで見た、多くの熱狂的な観客には感銘を受けた。われわれが選手権の一員として加わっているWECは、素晴らしいレースと共に親しみやすい雰囲気や、革新的な技術などがファンに認知されれば、目覚ましい成長が見込めるシリーズだ」

村田久武 ハイブリッド・プロジェクト・リーダー:
「昨年、われわれのTS030ハイブリッドにTHS-Rを搭載して走り始めたときから、みるみる進化させていくことができた事は、私にとって素晴らしい経験だった。システムのパフォーマンスは非常に高く、ハイブリッド・システムによって生み出されたパワーによるアシストが有効であることを実証する事ができた。この先進的な技術を共に開発してきたエンジニアやパートナーを誇りに思っており、彼らのハードワークが好結果に結びついたのだと思う」

「レースに勝てたこと以上に、ハイブリッドパワーによる300馬力のアシストについてドライバーから高評価をもらったり、ハイブリッドパワーが実際にコース上で有効に機能しているのを見ることは、いつも励みになった」

「われわれのハイブリッド・システム開発の基準点は2012年、TS030ハイブリッドに初めて組み込まれた時にあるが、2014年はレギュレーションが大きく変わるため、2013年はいくつかの改良を進めると共に、2014年に向けた要素技術のいくつかを2013年コンポーネントに織り込み事前テストを行っている。馬力と効率についてさらに磨きをかけると共に、パワートレイン全体での信頼性も高めていく。総じて言えば、今年もわれわれのTHS-Rは、競争力も信頼性も、非常に高い物であるという自信がある」

ジョン・リッツェン シャシー・プロジェクト・リーダー:
「昨年のTS030ハイブリッドのパフォーマンスには非常に満足している。われわれがデザインを開始したとき、3つの優先事項があった。ハイブリッド・システムとの協調、空力効率、そしてタイヤマネジメントだ。2012年シーズンで、われわれのTS030ハイブリッドは非常に高いパフォーマンスを見せ、この3つのすべての項目において、1年目としては目標を達成出来たと考えている。しかし、シーズンを通して多くの些細(ささい)な改良点が見つかっており、特に重要度の高い問題から優先度をつけてアップデートするなど、常に改良を続けている」

「2013年は、新たなコンセプトというよりも、2012年仕様からの進化型として、さまざまな視点からのファインチューニングを施した。フロントに残っていたハイブリッド・システム用のスペースを除去し、その結果、さらに効率的なパッケージングと空力を実現した。これによりレギュレーション変更による15kgの最低重量増においても、大きなパフォーマンス低下は防ぐことができた。車両性能シミュレーションでは、パフォーマンスが上がったことを示している。また、現場からのフィードバックにより、2012年に起こったいくつかの整備性の問題に起因するタイムロスを短縮できるはずだ」

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