メルセデスの新しいモータースポーツ責任者に就任したトト・ヴォルフが、メルセデスAMGのチーム代表ロス・ブラウンの続投を望むと語った。
ヴォルフは、メルセデスAMGの株30%を購入し、昨年末勇退したノルベルト・ハウグの後任としてモータースポーツ責任者に就任。さらに、マクラーレンの技術責任者パディ・ロウをメルセデスAMGに引き抜こうとしているとうわさされている。
それが事実とすれば、フェラーリなどで技術責任者を務めてきたブラウンの地位を直接おびやかそうとしているようにも映る。『Daily Express(デイリー・エクスプレス)』の記者ボブ・マッケンジーは、従ってブラウンが「辞任に近づいている」と報じている。
しかしヴォルフは否定した。「すべて憶測だ。ロスは、チームトップの一員としてここにおり、そのまま残ってほしいと思っている」
さらに追及されると、ヴォルフはこう付け加えた。「ロスとは話をした。ロスがしてきたことを高く評価している。しかし私には、体制を理解する必要がある」
マクラーレンはコメントを控えているが、仮にロウがチームを離脱することになっても、ほぼ確実に「ガーデニング・リーブ」と言われる情報漏えい等を防ぐための休暇を一定期間取ってからでなければ、別のチームに移籍することはできないだろう。
ブラウンと同様に、メルセデスAMGのCEOニック・フライも、その地位が危ぶまれている。
「あそこ(メルセデスAMG)には優秀な人材が大勢いる」とヴォルフは語った。「その人たちと会って話をし、分析をしてから結論を出したい」
「すでに整った組織が存在する。私はそれと共に仕事をしたいと思っている」
一方、自身の役割についてヴォルフは、主にF1に専念し、すべてのグランプリとDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の主なレースには現場へ赴くと話した。
ヴォルフが最初に取り組む仕事の中には、ケガからの復帰を目指す元F1ドライバーのロバート・クビサが今週参加するメルセデスのDTMカーのテストに目を配ることも含まれる。
クビサのF1復帰について、ヴォルフは短期間では無理だと話した。
「DTMのテストがうまくいき、ダウンフォースのある本格的なレーシングカーでもちゃんとできることが分かったとしても、彼のひじと腕の状態では、モノコックの車体を運転するには肉体的な制約がまだあると思う」
「将来ロバートがF1で成功する姿をぜひ見たいとみんなが願っているだろう。だが現段階では、間違いなく時期尚早だ」