フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は、2012年のタイトル争いでセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に敗れたあと、「往生際(おうじょうぎわ)が悪い」とレッテルを貼られてしまった。しかし、そんな批判にあっても、アロンソはまったく動じていないようだ。
ベッテルの出身地であるドイツのメディアは、今季のF1ドライバーズ選手権においてベッテルと一騎打ちになった際に、アロンソが心理的動揺を誘うために「汚い手口」を使ってきたと主張。
また、今季最終戦のF1ブラジルGPでは、追い抜きが禁止されている黄旗区間でベッテルが違法に追い抜きを行ったと見えるビデオ映像がレース後に出回り、ベッテルのタイトルが取り消しになるかもしれないという騒動にまで発展したが、アロンソ自身がこの騒ぎをあおっているとのうわさが流れたため、ドイツ国内でアロンソに対する新たな批判が湧きあがっていた。
アロンソは先日、今シーズン終了を祝うフェラーリ主催のイベントが開催されたバレンシアで「正直言って、ドイツや他の国の人たちが僕のことをどう思っているか興味は無い」と話した。
「僕が知っているのは、街ゆく人たちが僕をハグしながらグラディエーター(闘士)やサムライと呼んで称えてくれるってこと。僕にとって重要なのは、1200人のフェラーリファミリースタッフが、今日のディナーでスタンディングオベーション(総立ちになっての拍手喝さい)を送ってくれたこと」と述べた。
現にパドックでは多くのF1関係者が2005年と2006年にルノー(当時)で2連覇したときよりも今のアロンソの方が進化していると感じており、2012年のF1チャンピオンによりふさわしいと考えている。
アロンソもこの意見には賛成らしく、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対し、次のように語った。
「以前からみんなは僕に対してそれなりにいい評価をしてくれていた。でも今は違う。そこにはこれまでとはまったく違うレベルの敬意がこめられているのに気がついたんだ。これは2005年と2006年にタイトルを獲得した時にはなかったことだよ」
「それに、F1における偉大なドライバーたちの仲間入りをするには、タイトルを獲得するだけでは不十分。今季のようにタフなシーズンにも立ち向かわなければならない」
アロンソはさらに「僕はファンジオ(ファン・マヌエル・ファンジオ/通算5冠)やシューマッハ(ミハエル・シューマッハ/通算7冠)ほどタイトルを獲得できていないけれど、最高のドライバーの類(たぐい)に入ると思う」と加えた。
また、スペインのスポーツ紙『AS』には以下のように話した。
「セナ(アイルトン・セナ)がタイトルに輝いたのは3度だけど、最高のドライバーだと称えられている。僕が引退する時、最高のドライバーだったって思われたい」