今週末テキサス州オースティンで開かれているF1第19戦アメリカGP(11月18日決勝)、HRTのピット内は雰囲気が最悪だ。スペインのスポーツ紙『Marca(マルカ)』によると、まるでスタッフの背中には“求職中”と書かれた紙が貼ってあるかのようだという。
チームを所有するテサン・キャピタルは今週初め、新たなオーナーを探していることを明らかにした。
スペインからの報道では、来週末の今季最終戦ブラジルGP(11月25日決勝)が終わって、翌26日(月)までに買い手が見つからなければ全スタッフが解雇されるという。
これまで、すでに32人がチームからの解雇を言い渡されている。
匿名のチームエンジニアが次のように内情を明かす。「不思議だよ。マクラーレンのGTプログラムとマルシャから移籍してからまだ5日しか経っていないスタッフふたりが、その中にいたんだ」
「ちょうど来年のマシンを手がけていたところでね。チームを良くしようとがんばっていたのに。みんな、ほんとうに驚いていたよ」
また別のメカニックによれば、スペインの本拠地は“もぬけのカラ”だという。
「最後の勤務日は11月26日(月)と告げられた。チームがオースティンにやってきたのは、FIA(国際自動車連盟)とFOM(F1マネージメント)の契約によって出場が義務付けられているからだ」
さらに別のメンバーは、カタールで売却話がまとまりかけたところ、最後の最後で破談になったと明かしている。その結果、今回の事態に至ったわけだ。
「来年のグリッドは22台に減るよ。今なら格安の値段でチームを買い取ることが可能だ。でもタイミングが悪いね」
「2013年仕様のマシン開発はストップしたままだ。これは良いことではない。来年の開幕戦グリッドに2台のマシンを並べられるかどうかの瀬戸際だね」
「F1を戦う権利はあっても、マシン無しじゃ話にならない」
さらに別のHRTスタッフが次のように語っている。「流動資産が底をついたからチームを閉じるんじゃない。もはや利益を生む見込みがないといってテサンが撤退を決めたんだ」
「彼らはもうF1に興味は無いんだ」