トヨタが、時速約40kmから60kmの速度域での追突事故までカバーできる衝突回避支援型プリクラッシュセーフティーシステム(PCS)を開発した。
最近、衝突を回避するための安全システムを搭載した車両が増えているが、そうしたシステムの中には車両の速度が30km/h以下、あるいは前の車との時速差が30km/h以内の場合にのみ有効に機能するというものが少なくない。だが、実際の追突事故は停止している車両に対してだけでなく、急減速した先行車など移動車両との間で発生しており、例えば追突事故の90%以上が、前を走るクルマとの速度差が60km/h以内で起きていると言われている。
トヨタが新開発したPCSはミリ波レーダーにより、追突の危険を検知した場合、まずはドライバーに警報やディスプレイ表示で通知することでブレーキを踏むように促す。ドライバーが追突の危険に気づいてブレーキを踏んだ場合、ブレーキを踏む力を強力にアシストすることにより一般ドライバー平均の約2倍となる最大60km/hの減速を可能とする。
これにより、例えば自車が80km/hで走行中に先行車が20km/hまで急減速したような場合に、追突事故の発生を未然に防ぐことや、万一追突した場合でもその被害を大きく軽減することができるようになる。また仮に、ブレーキを踏まなかった場合でも、自動的に減速することにより15km/h~30km/h減速する仕組みとなっている。
トヨタは、実際に生じている追突事故のデータに基づいたシステム開発を目指しており、今回のシステムで業界トップレベルの追突事故低減効果を達成したとしている。なお、新システムは多くの車種への搭載を目指して開発されており、近々発売する新型車から順次展開していく予定だ。