『Reuters(ロイター通信)』はミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)のハンガリーGP(7月29日決勝)を「間違いだらけのコメディー」と評している。
そして、そのうち2つのミスはレースがスタートしていない状況下でシューマッハ自身が犯したと指摘している。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、スタート直前のフォーメーションラップを終えてスタート位置にクルマを停止させる際、シューマッハは誤った位置、つまり他のドライバーの場所にクルマを停めてしまったと記している。これによって、F1の統括団体であるFIA(国際自動車連盟)役員のチャーリー・ホワイティングがレースのスタートを中止させたとのことだ。
ハンガリーGPの予選を、シューマッハより2つ下の順位の19位で終えたヘイキ・コバライネン(ケーターハム)は、「チームにラジオで彼が僕のスタート位置にいると伝えたよ」とその時を振り返っている。
予選23位だったHRTのペドロ・デ・ラ・ロサも、何かがおかしいと感じていたようだ。
「誰に文句を言っていいのか分からなかったけど、僕は間違ったスタート位置にいるってことは知っていたよ」とデ・ラ・ロサは語った。
そして、シューマッハはホワイティングがスタートの中止を知らせると、エンジンを切ってしまったのだ。ところが、他のドライバーたちはエクストラ・フォーメーションラップに向けてシフトアップを行っていた。このため、ひとり取り残されたシューマッハはマーシャルにクルマを押してもらって、ピットレーンへと戻ることになった。
なぜエンジンを切ってしまったのかとシューマッハに尋ねたところ「以前はいつもそうやっていたんだ」と答えた。
だが、実際のところはそうでもない。数々の前人未到の記録を打ち立て、最初の引退をする前の2006年の時点ですでに以前まで採用されていた5分後の再スタートという習慣はなくなっていた。
ピットスタートになったと思いきや今度はピットレーンでの速度違反を犯し、ドライブスルーペナルティーを科せられた。
「今日は当分の間振り返りたくないレースのひとつになってしまった」とかつて7度のF1王座に輝いたシューマッハは肩を落としていた。