ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)が今後も不運に見舞われ続けるようなら、メルセデスAMGはチームオーダーで遅れを取り戻すかもしれない。
2006年に一度引退するまでフェラーリで黄金時代を築き、前人未到の7冠を達成したシューマッハは2010年にF1に復帰して以来、目立った活躍ができなかった。26日(土)のモナコGP予選で最速タイムを記録して今も色あせない速さを見せつけたが、前戦スペインGPレース後に下された5グリッド降格ペナルティーにより、27日(日)のモナコGP決勝を6番手からスタートした。そのうえ、レース開始後、クルマに油圧系のトラブルが発生し、シューマッハはリタイアを喫している。
不運続きのシューマッハに、元F1チャンピオンのニキ・ラウダは「シューマッハがこんなに運に恵まれないなんて、珍しいね」と話している。
事実、2012年シーズン開幕以来、シューマッハは2ポイントしか獲得できていない。これまでの6戦でシューマッハが見せた走りを考えると、獲得ポイントが少ないと言わざるを得ないのだ。
チームメートのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、モナコGPでも2位表彰台に立つなど着実にポイントを重ねている。モナコGP終了時点で59ポイントを獲得しているロズベルグは、ドライバーズランキングで5位に入り、首位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)とのポイント差はわずか17ポイントだ。
シーズンの約3分の1が終わった段階でシューマッハは大きく出遅れている。しかし、近い将来、シューマッハがロズベルグの獲得ポイント数を上回った場合、チームはどのように対応するのだろうか。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌がこの疑問をメルセデス・ベンツのモータースポーツ責任者ノルベルト・ハウグに質問したところ、「その時が来てから考えるさ」との答えが返ってきたが、次の言葉は意味深だ。
「何らかの指示を出すとは思わない。しかし、ドライバーたちは何をすべきか分かっているはずだ」