モナコGP(27日決勝)の優勝候補として、ウィリアムズのパストール・マルドナードの名前が挙がっている。
マルドナードは、実力ではなく持参金でレースシートを手に入れた「ペイドライバー」だと揶揄(やゆ)されていたが、スペインGPでは見事に初優勝を飾った。ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、マルドナードの優勝が1度だけの偶然とは限らないとしている。
2012年のF1は、これまでの5戦で5チーム、5人のドライバーが優勝するという史上最も予測不可能なシーズンとなっている。これに対しては、ピレリがもたらした「くじ引き」のようなものだと否定的な態度をとる関係者もいる。昨年のチャンピオンチーム、レッドブルのオーナーであるディートリッヒ・マテシッツもその1人だ。
しかし、イギリスの大手ブックメーカー『William Hill(ウィリアム・ヒル)』も、スペインGP以前は500倍だったマルドナード優勝に対する掛け率を、モナコGPでは16倍にしている。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、モナコGPには「本命が2人」いると伝えた。マルドナードと、もう1人はマクラーレンのルイス・ハミルトンだ。
「(ハミルトンとマルドナードは)2人ともモナコのスペシャリストとして定評がある。F1で走るずっと以前から、どんなクラスのレースでもモナコで優勝してきた」
「ハミルトンはスペインGPで最速だったが、予選での燃料不足によるペナルティーに邪魔された。モナコで速い才能に加えて、マルドナードのウィリアムズには素晴らしい加速力がある」
しかし、この記事を書いたトビアス・グルーナーも「今シーズンこれまでのところ、本命に賭けてうまくいった者はいない」と予測が難しいことを認めている。
2回F1王者になったエマーソン・フィッティパルディは、ロータスに賭けるという。
「彼らが最も一貫して速いチームだと思う」というフィッティパルディの言葉が『Globo(グローボ)』で紹介されている。
「くじ引き」とも言われる2012年シーズンについては、F1の専門家の間でも評価が2分しているが、元F1ドライバーで現在ウィリアムズのドライバー・アドバイザーを務めているアレキサンダー・ブルツは、波乱のシーズンを歓迎している側だという。
「ここまでで勝者は6人いる。5人のドライバーと、もう1人はF1自身だ」とブルツは『Sportwoche(シュポルトヴォッヘ)』に語った。