アジアや中東などでレースを重ねてきた今季のF1も、今週末のスペインGPからヨーロッパへ戦いの場を移す。大幅な改良を予定しているチームも多く、勢力図が変わる可能性もある。
・開催サーキット
スペインGPが行われるのは、バルセロナにあるカタルーニャ・サーキット。冬のテストで使用されることから、F1チームにとってはおなじみのサーキットであり、どのチーム、ドライバーも熟知しているサーキットだ。
1、2コーナーを抜けた先にある3コーナーや、その次の4コーナーなど、大きく回り込む長い高速コーナーが特徴になっている。このほかにも高速コーナーが存在することから、タイヤへの負担が大きい。タイヤを酷使すると大きくタイムを落とすことになるため、タイヤをいい状態に保つような走り方、クルマのセットアップにすることが重要になる。
また、高速コーナーが多いため、空力が重要になるサーキットでもある。そのため、効率のいい空力性能を持ったクルマが有利になり、このコースで速ければ、どのコースでも速いと言われ、クルマの総合力が試されるサーキットとされている。
・今回もタイヤがレース展開のカギに
カタルーニャ・サーキットには、タイヤに大きな負荷がかかる高速コーナーが多いため、タイヤへの負担が大きい。また、今年のピレリタイヤは、レース展開を面白くするため早く性能が低下するよう設計されている。これまでのレースでも、タイヤをうまく使えるかどうかが大きなポイントになっていた。
ピレリがカタルーニャ・サーキットに持ち込むドライタイヤは、最も硬いハードとそれよりも2段階軟らかいソフトのコンパウンド。決勝では、雨用のタイヤを使用しない限り、2種類のコンパウンド両方を使用しなければならない。ソフトでいかに性能低下を抑えるかが重要になってくるだろう。
逆に、ピットストップの回数を増やし、速いペースで走行して性能が低下する前にタイヤを交換する作戦も考えられるが、カタルーニャ・サーキットはコース上での追い抜きが難しいコースとしても知られている。そのため、自分よりもペースの遅いクルマに前をふさがれる可能性もあり、ピットストップの回数を減らしてピットでのタイムロスを回避するのか、ピットストップの回数を増やして速いペースで走れるようにするのか、2種類の戦略が見られるかもしれない。
・優勝争いは?
今季これまでの4戦では、4チームから4人のドライバーが優勝。近年では珍しいほどの混戦になっていた。しかし、どのレースでもマクラーレンが強さを見せており、今回もマクラーレンが優勝争いに加わってくる可能性は高い。また、現チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が前戦バーレーンGPでようやく今季初優勝を果たしており、開幕から不振の続いていたレッドブルが復活するとの見方もある。
スペインGPで各チームともクルマを改良してくるが、レッドブル以上に苦戦を強いられてきたフェラーリも大幅にクルマを改良。フェラーリがどこまで優勝争いへ近づけるのかも注目だ。さらに、今年からF1に復帰したキミ・ライコネンが所属するロータスも開幕から速さを見せており、特に暑いコンディションを得意にしているとされる。気温が上がれば、バーレーンGPのようにロータス勢が優勝争いに加わる可能性もあるだろう。
・小林可夢偉、ザウバーの動向は?
小林可夢偉の所属するザウバーも、スペインGPでの大幅な改良を予定。先週にイタリアで行われたテストでも新パーツを確認していた。フロントウイングやボディーワーク、排気口やディフューザーなどを改良しており、テスト結果は期待できるものだったとザウバーは発表している。
しかし、ザウバー以外のチームも改良を予定しており、勢力図がどのように変わるのか、もしくは変わらないのか、予選が終わるまでは分からない。ザウバーのいる中団グループを含め、各チームの勢力図がどう変化するのか注目してみても面白いだろう。
F1でも屈指の人気を誇るフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の母国、情熱の国スペインが舞台となることから、毎年お祭りのような盛り上がりを見せるスペインGP。11日(金)現地時間10時(日本時間17時)に開幕。決勝は、13日(日)現地時間14時(日本時間21時)にスタートする。