レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、現在セカンドチームのアルファタウリに所属しているピエール・ガスリーにレッドブルでもう一度チャンスを与える可能性があることを示唆した。
26歳のフランス出身ドライバーであるガスリーは、2018年にトロロッソ(現アルファタウリ)のフルタイムドライバーとなり、翌2019年にはルノーへの移籍を決めたダニエル・リカルド(現マクラーレン)の後任としてレッドブルに昇格。
だが、チームメートのマックス・フェルスタッペンとの差が大きく、シーズン後半には再びトロロッソに降格されていた。
しかし、ガスリーはその後はいいパフォーマンスを発揮し続けており、2021年にルーキーの角田裕毅をチームメートに迎えてからはしっかりとチームリーダーの役割も果たしている。
2020年のイタリアGPではF1初優勝も達成しているガスリーは、今週、母国フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』に対し、トップチームで再びチャンスを得るのはもはや「時間の問題」だとコメントしている。
レッドブルのドライバープログラム責任者であるマルコは、そのガスリーについて「我々はまだ彼と2023年までの契約がある」と『formel.de』に語り、次のように付け加えた。
「もしこの契約が満了し、彼に昇格のチャンスを与えることができなければ、我々は彼を失う可能性が高いだろうし、それは避けたいと思う」
元F1ドライバーであり、現在はDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の責任者を務めるゲルハルト・ベルガーは、最近、ガスリーにはレッドブルで「もう一度チャンスを得るのに十分な力がある」とコメントしている。
だが、現在レッドブルでフェルスタッペンのチームメートを務めているのは経験豊富なメキシコ人ドライバーのセルジオ・ペレスだ。
「ゲルハルトは正しいよ」と語り、ガスリーの能力を高く評価していることを認めたマルコだが、「しかし、現時点ではまだチェコ(ペレスの愛称)との契約が残っているんだ」と語り、次のように付け加えた。
「この2人のドライバーのパフォーマンスを比較する必要がある。チェコとの比較は、まだ今年中盤までできるからね」
このマルコのコメントは、ペレスと結ばれている現在の1年契約には契約延長に関するオプション条項が含まれていることを示唆するものだろう。通常、こうしたオプション条項に関しては夏休みの終わり頃が行使期限となっていることが多い。
昨年レーシングポイント(現アストンマーティン)からレッドブルに移籍したペレスは、レッドブルF1マシンへの適応に苦しんだものの、波乱の展開となった第6戦アゼルバイジャンGPではチャンスをつかんで優勝を遂げたほか、シーズンを通じて4回3位表彰台に上っている。
そして、32歳のペレスは、今季のF1第2戦サウジアラビアGPで初のポールポジションを獲得。決勝でも不運なタイミングでセーフティカーが出動したことから4位に順位を落としてしまったものの、序盤はフェラーリのシャルル・ルクレールに付け入る隙を与えない走りを見せており、今年もかなりのパフォーマンスが期待できそうな勢いを見せている。
そのペレスは、サウジアラビアGPの舞台となったジェッダ市街地サーキットでポールポジションを獲得したことでさらに自信をつけたようだ。
「こんなサーキットはほかにないと思う」とジェッダで語ったペレスは、次のように付け加えている。
「ここでポールが取れるなら、世界のどこでもポールが取れるよ」
マルコもペレスのパフォーマンスには満足しているようだ。
「今ではマシンがより彼に合うものになっているし、彼はより快適に感じているよ。そして、彼はチームのこともわかっている」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「このような進展が見られたことを、我々は非常によろこんでいるよ」
レッドブルは、すでにフェルスタッペンとは2028年まで契約を結んでおり、当面フェルスタッペン中心のチームとして活動していくことは間違いない。
ガスリーが、それを承知の上でレッドブル昇格を最初の選択肢とし続けるのか、あるいは、F1チャンピオンとなることを目指すために、ほかのトップF1チームへの移籍も視野に入れることになるのか、そういった視点からも、今後のドライバー市場の動向には目が離せなくなりそうだ。