今年2年ぶりにウィリアムズのドライバーとしてF1に戻ってくるアレクサンダー・アルボンが、昨年マックス・フェルスタッペンに初のF1ドライバーズタイトルをもたらしたレッドブルのF1マシンは今年も十分に速いはずだと語った。
2019年シーズン途中から2020年シーズンにかけてフェルスタッペンのチームメートを務めていたイギリス生まれのタイ国籍ドライバーであるアルボンは、2021年にはセルジオ・ペレスにそのシートを明け渡し、レッドブルのリザーブドライバーとしてチームの開発作業をサポートしていた。
2022年にはこれまでとは大きく異なる新たな技術レギュレーションが導入されるが、F1関係者の中には、レッドブルは2021年のタイトル争いに集中していたことからライバルチームたちとの比較において2022型マシンの開発に後れをとってしまった可能性もあると考えている者がいるのも確かだ。
しかし、今年はレッドブルからのレンタル移籍という形でウィリアムズで走ることになるアルボンは、そうした声に対して『formel1.de』を通じて次のように反論している。
「僕は自分の時間のうち50パーセントを2021年のマシンに、残りの50パーセントを2022年のマシンに費やしてきたよ」
「(2021年の)選手権が終わりに近づくにつれ、より一層F1タイトルを獲得することに焦点が移っていったし、ジェッダ(第21戦サウジアラビアGP)やアブダビ(最終戦)のころにはいつも以上に頑張ったけどね。結果的には大丈夫だったよ」
「短期的にタイトルを獲得できるチャンスがあるなら、それを取りにいかないとならないんだ」
「だけど、チームはそれに関しては賢くやったよ。それに、レッドブルはルール変更が行われたときは常にエイドリアン・ニューウェイ(最高技術責任者)と共にうまくやってきた。来年(2022年シーズン)、彼らがまずい位置にいることはないよ」
そのアルボンが2021年にペレスにシートを明け渡したのは、2020年にチームメートのフェルスタッペンとの比較において、うまく結果が残せなかったためだ。
だが、アルボンの後任となった経験豊富なペレスにとっても、レッドブルのマシンに適応するのはかなり大変だったようだ。
「もしマックスがメルセデスに行ったら、同じ状況になっていたと思うよ」
そう語った31歳のメキシコ人ドライバーは、『motorsport-magazin.com』に次のように続けている。
「マシンがあまりにも違うんだ。ラップタイムはすごく似ているけど、ラップタイムの出し方が全然違うんだ」
「僕がそれまでにやっていたことは、ここでは通用しなかったよ」
「だからクルマに慣れるのに少し時間がかかったけれど、今は本当に慣れ親しむことができたと思っている」
そのペレスにとって、2022年はまたこれまでとは大きく異なるレッドブルF1マシンに挑戦することになる。
ニューウェイが中心となって設計されてきたこれまでのレッドブルF1マシンはレーキ角(マシンの前後の傾き)が大きいのが特徴となっていた。だが、シャシーそのものが一定のダウンフォースを発生させるグラウンドエフェクト効果が導入される2022年型F1マシンでは、レーキ角が大きいとダウンフォースを得にくくなると考えられており、レッドブルF1マシンの空力コンセプトもこれまでとはかなり異なるものになるだろうと予想されている。
現時点ではレッドブルがいつ2022年型F1マシンを発表するのかはまだ明らかとなっていない。